・ 「第4階級・イル・クワルト・スタート」 ・ 5月1日のシンボル

明日は5月1日、メーデーの日・労働者の祭日で、イタリアは祭日。
例年ローマのサン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ聖堂前の再広場では
野外での大コンサートが終日開催されるのですが、それも今年は・・!

でも、今日は毎回のコロナ・ヴィールスのニュースはさておき、
まず見て頂きたい写真を。

そう、ジェノヴァの街に架かる新しい橋が、28日に遂に繋がりました!
美しい3色に彩られた橋、「ポンテ・イターリア」です。

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まだこれから最後の様々な仕上げ工事がありますが、とにかく上面が繋がり、
ジェノヴァ市長は感激していたと。
工事はコロナヴィールスの危機状態の中でも続けられ、遂にここ迄!


2日前にスーパーに買い出しに行きましたが、その前日から一部の
工場などの再開があり、途端に坂の下の道を通る車が増えていて
驚きましたが、皆がやはり再開をどんなにか望んでいるのが良く分かり、

ドイツなどは再開した後に感染者が増えたとか、フランスは学校の
再開を先送りしたとか、まだまだヨーロッパは大変な状態ですが、
生活問題があり、これ以上は封鎖できない、というのが真実と。

とにかくきちんと自衛し、再開、再会を待とうと思っています。

**********


上記した通り、明日は5月1日、労働者の祭日で休日のイタリア
ですが、この日のシンボルと見なされている絵・
第4階級・イル・クワルト・スタート」をご紹介しますね。

1-1024px-Quarto_Stato.jpg

元々メーデーの日は、1886年にアメリカのシカゴで起こった労働者達の
反乱が流血の鎮圧に終わったのを記念したものと言われますが、
この絵の中では、暴力的ではなく、ゆっくりと、平静に、
自分たちの権利を要求して進む人民が描かれています。



画家はジュゼッペ・ペリッツァ・ダ・ヴォルペード・Giuseppe Pellizza
da Volpedo(1868-1907) 1901年作 293x545cm 画布油彩


2-GiuseppePellizza.jpg


ピエモンテ州アレッサンドリア県のヴォルペード、ピエモンテ州ではありますが、
ミラノの南西、という方が早い位置にある町の、裕福な農家の生まれで、
工業学校で製図を学んだ後、ブレラ美術学校絵を学び、ローマに、
そしてフィレンツェで、再度またベルガモで、ジェノヴァでと学び続け、

24歳で生まれ故郷のヴォルペードに戻り結婚、名前の最後にかっての画家の様に
生地の名を付けて記すようになり、
セガンティーニに影響を受けた絵を発表するように。 

当時の写真と、

3-images.jpg



花咲く野。

4-Giuseppe_Pelizza_-_Prato_fiorito.jpg



太陽。

5-The_Sun_by_Giuseppe_Pellizza,_1904_-_Galleria_nazionale_d'arte_moderna_-_Rome,_Italy_-_DSC05311.jpg



宗教の行進・プロチェッショーネ。

6-Giuseppe_Pellizza_da_Volpedo_-_La_Processione.jpg



そしてぺリッツァはアメリカの労働者たちの蜂起にも心を動かされたか、
生まれ故郷で見る農民たち、下層労働者たちの姿に意識が行ったか、
1891年に、「第4階級」の先駆けとなる
「飢えの使者たち・Ambasciatori della fame」の素描を。

7-Ambasciatori_della_Fame.jpg

これは実際に彼自身も支持したという、ヴォルペードの町の広場での
日雇い労働者たちの姿を描いたもので、
背後に大勢のグループを率い、主人に自分たちの権利を要求する、
代表者3人の姿。



画家はこの作に満足せず、その後すぐに新しい制作に取り掛かり、
「フュマーナ・Fiumana・大河の滔々たる流れ、の意」を。
こちらがその下図で、

8-Fiumana-bozzetto-1895.jpg



1895年の「フュマーナ」はこちら。 先頭の3人の1人は
赤ちゃんを抱いた女性に替わり、彼女は素足で、
背後に「大河の如き」大勢の労働者が続きます。

9-fiumana_1_orig.jpg

背後の人間の姿は以前よりももっと充実した構成となり、前部の3人に
近づき、色も光も変わり、強調されたものに。



が画家は未だ納得せず、1898年に再度3度目の制作に取り掛かり
活道力と現実感を与える場面の表現、労働者たちの歩み、
前の「フュマーナ」の単なる前進の歩みを超えた、
階級闘争の歩みの姿で、ここに「第4階級」のタイトルが生まれます。

10-il-quarto-stato-1_1.jpg

かっての階級は、1.貴族階級、2.聖職者階級、3.中産階級・市民層
だったのが、前世紀に生まれ、名付けられた第4の労働者階級の台頭があり、
政治的に権利を要求する姿が初めてここに描かれた、事になります。

前を行く3人は、前作と同じ男性2人と女性1人ですが、
もっと明確な姿で、強い光の中で全体の色調が見事に整い、

自分たちの権利を暴力的ではなく、ゆっくりと的確に、平静に、求め、
背後の大勢も揃って、話し合いながら進む姿ですね。



前を行く2人の細部で、右の女性は画家の妻テレーザと。

11-Quarto_Stato_(Volpedo)_Detail.jpg



ここに描かれた人物もヴォルペードの住民で、名も分かっており、

12-Modelli_Quarto_Stato.jpg

1.ジョヴァンニ・ザッリ・Giavanni Zarri 当時45.6歳 建具師
3.ジャコモ・ビドーネ・Giacomo Bidone やはり建具師 生年月日が
  間違っていて年が分かりませんが、1.のジョヴァンニと同じ位か、
  表情から見て少し上かと。
9.ぺリッツァの妻テレーザの妹マリーアで、10.がその夫ジョヴァンニ。

ぺリッツァの妻テレーザは3人目の子どもを産んですぐ亡くなり、
彼は妻の死後鬱となり、39歳で自殺したそうで、
テレーザの妹マリーアも28歳で肺結核で亡くなり、後年夫も自殺と。



こちらはベルナルド・ベルトルッチ・Bernardo Bertolucci監督の
映画「ノヴェチェント・1900年」のタイトルに使われた画面と。 覚えてない。

13-Novecentotitolo.jpg



という事で、最後にもう一度、「第4階級・クワルト・スタート」を。

14-1024px-Quarto_Stato - Copia.jpg

このぺリッツァの素晴らしい代表作は、ミラノのドゥオーモ広場の
「ノヴェチェント博物館」に収蔵されているそうで、

TVのニュースの折柄に見て知ってはいた絵で、色の美しさに惹かれては
いたものの、タイトルも何も知らずでしたが、今回謂れを知りましたので、
「労働者の祭日」に因んでの、ご紹介でした。


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この記事へのコメント

  • シニョレッリ

    shinkaiさん、こんにちは。

    今回の記事によって「第4階級」制作の経緯が初めて分かりました。有難うございます。

    ブレラ絵画館の第37室にある作品が第2作で、ノヴェチェント美術館にあるのが第3作という理解で良いのでしょうか。ブレラの作品説明プレートに1895年から1896年の制作と書かれてます。
    恥ずかしながら、ノヴェチェント版はジュゼッペ自身によるコピー画と思ってました。

    ともあれ、並べて見たことがないので、違いがよく分かりませんでした。
    2020年05月01日 08:04
  • shinkai

    ★シニョレッリさん、こちらにも早速のコメント有難うございます!

    そうですね、今確かめましたが、ブレラにあるのが、第2作目の「フイウマーナ」で、 ブレラに行ったのに、目が行ってませんでした。

    で、ノヴェチェント博物館のが、第3作目ですね。

    いや、どちらもご存知というのは素晴らしいですね、いつもの事ながら驚きます!

    これからもどうぞ宜しくお願い致します。

    2020年05月01日 15:12
  • kasuga

    新開さんこんばんは。
    今回も興味深いテーマで読ませて頂きました。
    なるほど、こうして見せてもらうと作者の意匠が良く分かります。
    こういうテーマの作品は一連の作品を一度に並べて間近で見てみたいです。無茶な話ですが。

    あっ、そういえばメーデーだったなと・・・ネットメーデーやっていました。
    私の参加した頃のメーデーよりマイルドでしたけど。
    イタリアも少しづつ経済が動き始めているのですね。
    いいなあ。

    日本は今からが正念場です。
    2020年05月02日 04:47
  • shinkai

    ★kasugaさん、こんにちは! コメント有難うございます。

    そうですねぇ、同一テーマの作品を一堂に、というのは、時々美術館同士が相互貸し出しでやることもあるみたいなのですが、なかなか企画自体が難しいみたいで、実現しにくいですよね。

    余り知られていない画家同士、作品自体の評価が低いとかだと、やっても余り観客動員には繋がらないでしょうしね。

    今回の絵は、3作の出来がぐんぐんと良くなっているので、その意味でも大変興味あるもので、知った時はなるほどなぁと、本当に感心して眺めました。 画家にとって、生涯で一番のモチーフだったのでしょうね。

    以前にF.アイエスの「接吻」3作を見て頂いた事がありますが、まだでしたら見てやって下さい。
    http://www.italiashiho.site/archives/20191201-1.html


    そう、日本はメーデーが祭日ではなかったですよね。でも先生の中にはメーデーに参加して授業がお休みとかあって、学校の外で騒いでいるのを見ては、なんやぁ、と思っていたのを覚えていますが、ははは。

    はい、2か月間逼塞生活だったので、ま、前から同じような生活状態ではあったのですが、はは、やはり後ろめたくない気持ちで外に出れる、あれこれ出来る、というのが待ち遠しいです。
    そちらも頑張って下さいね!!
     
    2020年05月03日 04:00