・ ヴェネツィアのコルティジャーナ ・ ティツィアーノの絵と周辺あれこれ

実は今回のテーマ「ヴェネツィアのコルティジャーナ」についての発端は、
4月22日の分家ブログに載せた
あちらを先に読んで頂けると、有り難いです。

1-tiziano Venere.jpg

この時はご覧の様に絵の中に動物、犬がいるから、という事で始まったのが、
見つけたサイトの記事を見ると、犬どころか、はは、

注文主が後のウルビーノ公爵となるグイドバルド・デッラ・ローヴェレで、
絵の注文動機が、どうやら数年前に結婚した若き妻に婚姻の、夫婦間の
性的関係を享受、教授するみたいな意味が含まれていた事を知り、おお!

だったですが、はは、あれこれ検索して、この「ウルビーノのヴィーナス」の
モデル役を務めたのが、ヴェネツィアのコルティジャーナで、
ティツィアーノ様もお通いになっていたアンジェラ・デル・モーロだったのも判明。


かねがね、ティツィアーノを始め様々な画家が描くヌード像のモデルは一体誰が?
という疑問を持っていましたから、成る程なぁ、と感嘆、記事アップ後も
ヴェネツィアのコルティジャーナについて、調べ始めました。

「コルティジャーナ・Cirtigiana」ご存知ですね?
元々は宮廷の礼儀正しい床しい、教養高く素養ある男性貴族、みたいな由来から
始まった「コルティジャー」という言葉ですが、次第に意味が変遷し、
高級娼婦の意味になりますが、ちょっとここでさておき、



アンジェラ・デル・モーロ・Angele del Moroについてすこし。

実はこれを書こうかどうかとかなり迷ったのですが、というのもかなり酷い話も
含まれるので、そのお心算でお読み下さいね。

彼女の生年月日は分かりませんが、上の「ウルビーノのヴィーナス」を
ティツィアーノが描いたのが1538年で彼女が20歳から25歳位の時と考えると
大体1518年頃の生まれでしょうか。 

ティツィアーノ(1488/90-1576)が48~50歳の時に「ヴィーナス」を描いており、
彼のお好みのコルティジャーナで、当時その美しさで大評判だった様子。

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ティツィアーノのみでなく、パリス・ボルドン・Paris Bordon(1500-1571)も
大変に熱を上げていたそうで、他にもサンソヴィーノ・Sansovino・彫刻、建築家、
ピエトロ・アレティーノ、トスカーナ生まれの詩人も彼女の元に通った1人で、
若くして亡くなったイッポリート・ディメディチ枢機卿も、夢中だったと。

という事で上層階級の顧客を持ち、自由で贅沢な生活をしていた彼女に
大きな影が。 というのも顧客の1人に貴族のロレンツォ・ヴェニエールがいて、
彼はピエトロ・アレティーノの弟子でもあったのですが、
彼女との約束の日に訪れるとなぜか扉が開かず、彼の誇りは大いに傷つき復讐を。

1531年4月6日ヴェネツィアから少し離れたマラモッコで2人で1日を過ごし、
夕暮れにはヴェネツィアに戻る筈がキオッジャに接岸し夕食を。
彼女はキオッジャに1泊するつもりかと思ったのが、
次々と他の30人の男たちに暴力で。

そして彼はこの様子を短詩に著し、「ザッフェッタの31人」として出版。
おまけに師のアレティーノまでが同様な著作を出版するという、なんともはや、
男たちの残忍な愉しみというか、他に言葉がありません。



さて本筋に話を戻し、「ヴェネツィアのコルティジャーナ」高級娼婦を意味する
この言葉で一番有名な女性ではヴェロニカ・フランコ・Veronica Franco
(1546-1591)がいます。

詩人としても有名で、詩の著書も2冊あり、フランス王アンリ3世が
ヴェネツィア訪問の際はそのお相手に参上した女性でもありますね。

このヴェロニカの肖像画は、ティントレットの追随者、弟子が描いたらしい、と
いうのですが、

4-Seguace_JacopoTintoretto_Ritratto_di_signora.jpg



ヴェロニカが生き、活躍、有名なヴェネツィアの高級娼婦たちのカタログに記載
されていた時代は1560~70年代と考えられ、

当時の有名な芸術サロンにはティントレットも出入りしていて、彼が描いたという
「胸をはだけた貴婦人」1570年という肖像も。

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2つの肖像から見ると、彼女は丸顔で、可愛い感じの女性だった様子ですね。
フランス王アンリ3世のお相手をしたというのは1574年で、
彼に関してはちょっとした面白いお話もありますので、こちらを。

ちょっぴり歴史に名が残る、 我が町コネリアーノの様子を
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/467229891.html



あれこれ話が飛ぶので、どう取り上げる話題かと恐れていた通りに
収拾が付かなくなる前に、はは、

ヴェネツィア共和国に於ける娼婦の位置などについてちょっぴりお話を。

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ヴェネツィアは海外との通商交易で栄えた国、当然外国人の出入りも多く、
娼婦の存在は多かったのですが、と同時に、政府から大いに容認され、
時に奨励された事もあったというのには、
男色が大変流行り、それに対抗する意味もあったのだそうで。



1400年前半には彼女たちはリアルト橋の近く、サン・ポーロ地区に含まれる
カステレット・Castellettoと呼ぶ地域に住む事を義務付けられ、

ここには現在も「ポンテ・デッレ・テッテ・乳房の橋」と呼ばれる橋も残り、

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彼女たちは窓から胸をむき出しにした姿で乗り出し、男たちを誘ったのだそうで。

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ヴェネツィア共和国は警察国家としても有名で、彼女たちへの締め付けも勿論で、
夜の3点鐘には(夜中の2時と思いますが)家に戻る事、でないと鞭打ち10回、
クリスマス、復活祭、そして宗教行事の日に男たちに近づくと鞭打ち15回、
土曜日のみ黄色い布で頭を包み、町の中を歩く事が出来たと。

一見緩やかではありますが、やはりかなりの差別を受けていたのが分かりますね。

で居住区に関しては、リアルト橋の1514年の火事以降、一帯の危機もあり、
他に移ったりもあった様子。



1565年頃に発行された「ヴェネツィアの主要で最も高貴な娼婦たちのカタログ・
Catalogo de tutte le principal et più honorate cortigiane di
Venetia」には名前、住所、出来る芸、楽器、踊りなど、そして料金が記載されており、

あれこれ復刻版が出ている様子で、この表紙がオリジナルとは思えませんが、

10-IAEV-AutoriVari-CatalogoCortigianeVenezia.jpg

これに掲載されている女性の数は215名。

ヴェロニカ・フランコも医者との結婚、離婚の後に高級娼婦として生きる事にし、
どうやら母親も高級娼婦だった様で、このカタログに20歳から10年間ほど
記載されているそう。

が1509年の調査によると、11164人が公的申告をしている娼婦の数で、
勿論カタログに掲載されていない下級娼婦の数の方が断然多いわけで、
下級娼婦たちは男性の様にシャツとズボンを着用したりが、

高級娼婦となるとサテンの優雅豪華な衣装に身を包み、お付きの一団に
囲まれ、ヴェネツィア貴族を顧客に贅沢で自由な生活を。

とりわけヴェロニカの場合は教育を受けて育っており、上流階級が足を運ぶ
文芸サロンにも出入りし対等に交際できる素質も持っており、、
良き貴族の友人達を持っていたため、
後にヴェネツィアにペストが流行り、ヴェネツィアを離れていた間に家を略奪され
殆どの財産を失い、1577年にヴェネツィアに戻って後異端裁判にも
召喚されますが、政治力を持つ貴族のお陰で無罪放免、にも。

晩年は仕事も引き、貧しくとも最下級の生活に落ちることなく過ごし、
貧しい娼婦たちの「救護所」を造ったりで45歳にて没、と
やはりホッとする所がありました。



暫く前に、ずいぶん昔に見た映画「自分の運命の主人」、日本語タイトルでは
「娼婦ロニカ」がTV放映され、懐かしく見たり、改めてヴェロニカ・フランコに
ついて読んだりしたのでしたが、

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映画自体は2流で、はは、大変ロマンチック仕立てになっておりましたが、
映画に恋人として登場のマルコ・ヴェニエール・Marco Venierはドージェも輩出の
ヴェニエール家の一員で、多分異端裁判から救ったのは、彼を含めての貴族たちで
あろう、というサイト記事も読みました。

アンジェラの悲劇は、ちょっとした彼女の驕りが招いた事と思えますし、哀れ、
やはりヴェロニカとの性格の違いを感じます。


という様な「ヴェネツィアの高級娼婦コルティジャーナ」についての
ちょっぴりのご案内、「ヴェネツィアの光と影」でしょうか。 


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