ついに11月になり、今年もあと2か月ですねぇ、頑張って参りましょう!
先月中旬、ロンバルディーア州のカスティリオーネ・オローナ・
Castiglione Olona迄、日本からの友人と1泊で出かけて来た時の
様子をご覧下さいね。
この小さな古い町、15世紀の面影を残すかっての中心であった一廓に、
このジュゼッペ・ガリバルディ広場・Piazza Giuzeppe Garibardiがあり、
ここまで車のナヴィ、トムトムに導かれて無事到着。
コネリアーノから約4時間半、ちょうどお昼の12時半に到着、
車を広場の駐車場に、グーグルのストリート・ヴューで予習した通りに、ははは。
カスティリオーナ・オローナという柔らかい響きの名を持つこの町は
どこにあるか、地図をご覧ください。
ミラノからだとちょうど1時間前後の距離で、
我々はこの日は北に13㎞のヴァレーゼ・Vareseに泊まりましたが、
翌日はコモ・Comoにより、古い教会を2つ見学して戻りました。
まずは広場の左に見える小さな教会を見に行きますが、
ヴィッラ教会・Chiesa di Villa、15世紀半ばの物との事で、
前庭の鉄柵は開いていたものの、扉は閉まっていて内部は見れず。
正面の像2体の内、右側のサン・クリストフォロ・San Cristofolo.
川の渡しをしていて、肩に載せた子供がどんどん重くなり、
実はキリストであった、という中世の優しい大男、という聖人像。
古い教会の表に彼の像を、フレスコ画でも描かれたりで、よく見かけます。
きっと昔の徒歩旅行者にとっての守り神的存在であったのだろうと想像しますが。
内部には木造彩色像やあれこれの聖人像もある様子ですが、
こんな古い扉が閉まっておりました。
教会左脇にある建物、前庭の柵が共通なので教会司祭用の建物なのかもですが、
上階左側に小さなフレスコ画が残り・・。
広場のバールに行き、上の教会は既に12時半で閉まった事、開くのは2時半か3時、
というのを聞き、ではここでお昼を、と中に。
バールと、いくつかのテーブルがあり、パニーノなどもありましたが、
我らはナスのパルミッジャーノ・ナスとチーズのグラタン、を。
お昼はやはりパニーノよりもこういうのが良いですよねぇ!
メニューにもちゃんと冷凍食品、と書いてありましたが、今頃はこういうのが結構多く、
それなりに美味しく、量もたっぷり目で、ビールと共に美味しく頂きましたぁ。
お昼の後、広場の向かい側に見える建物、市の博物館の様子を見に。
市博物館ブランダ・カスティリオーニ、
ちょうど修復中でしたが、ここは市のインフォメーションも兼ねていて、
ここは14~15世紀の建物、枢機卿ブランダ・カスティリオーニの住居だったもので、
広場から坂道を上って行く、今回お目当てのコッレッジャータ・Colleggiata
にあるマゾリーノの壁画がここにもある、というので帰り道に寄る事にし、
建物の外側の様子を偵察に、はは。
簡素ですが、門のアーチには繊細な装飾も見え、
丸石敷の道と入り口脇の石のベンチ。 良い趣でしょう?!
という事で、上の教会見物の後に寄ってみた建物内の様子を先にご案内しますね。
本来は召使用の入り口だったと思われる部分が現在の入り口になっていて、
切符を買い、3エウロ、入り口に居られた係りの若いシニョーレに、マゾリーノの壁画は
何処にありますか、などと聞いている内に思いがけない収穫を!
マゾリーノの壁画の他に、ロレンツォ・ディ・ピエトロの壁画がある、という事から、
通称ヴェッキエッタ・Vecchietta・婆ちゃん、彼はヴェッチェッタとヴェネト訛風に
言いましたが、ずっと疑問だった、この通称が彼の事と思い出し、
どうしてその通称が生まれたか、というのも彼の説明で分かったのですね。
「ヴェッキエッタ」、シエナの大聖堂前にある現在はスカーラ博物館にあるという
まだ未見の彼の壁画や、オルチャの谷の村カスティリオーネ・ドルチャで見た
彼の生地である、という碑などからなぜそんな通称なのかをあれこれ調べたのですが、
今迄は、なぜかは分からない、という説明だけだったのが漸く解決!
しかもこんな思いがけない土地で!! はい、謎解きは後程のお楽しみに。
展望台式テラスを通る階段を上り、
テラス部分の天井画。 「立ち上がる獅子」がカスティリオーニ家の紋章で、
右端には、深い友情で結ばれていたというミラノのヴィスコンティ家の紋章も。
下の壁に見えるフレスコ画。 ちょっとした騙し絵風に。
全体の建物は2棟に分かれ、道沿いのshinkaiが撮った棟の南側の大きな部屋。
一族カスティリオーニ家の人々や、教皇たち、親しい貴族の肖像画のコレクションで
埋められ、正面にはルネッサンス風の大きな紋章付きの暖炉。
この建物は2004年から市の持ち物になっているそうで、
きっと様々な催しが行われる部屋なのでしょう。
カスティリオーニ家というのはミラノ貴族の家柄で、
枢機卿ブランダは1350年2月4日ミラノの生まれ、長男だったのを宗教界に入り、
ミラノとパヴィーアで学び、大変優秀な方だった様で、最初は大学で教えていたのが、
じきに教皇の意向を受けて外交官的な意味も含め、各地に枢機卿として赴きます。
ミラノのヴィスコンティ家とも、フィレンツェのメディチ家との友情も厚く、
ハンガリアの王とも大変つながりが深かったともあり、
当時フィレンツェで主流となっていた人文学者たちの集まりを、
ロンバルディーア州で始めた最初の方だったとか。
大変に長生きもされ、93歳没、1425年にはこのカスティリオーネ・オローナに
コッレッジャータを作り、後には住まいであるこの建物もフレスコ画で装飾させ、
のみならず近辺の子供たちのための学校や、当時としては大変まれな図書館、
女子の為の修道院設立などもされ、
この地に文化と芸術、信仰を運び込まれた、当時の宗教界の君子でもあり、
芸術家とこの町にとってのパトロンであり、理想の町にされようとした
この町のこのお屋敷で1443年に亡くなられたと。
こちらは同じ棟の北側に当たる部屋で、床の嵌め木細工、
扉の上の趣ある装飾、
天井の凝った細工と、シャンデリア。
こちら側の部屋は、後世に改装されたものと思われますね。
こちらは南に向かって伸びる棟にある、「枢機卿の寝室」と呼ばれる部屋。
広い部屋の壁全部がこの赤色を背景に、木登りして遊ぶ子供達で埋められ、
作者はロンバルディーアの作家とみられるそうですが、
この木に梯子をかけて上り果物、ザクロかな、を取る図は、後に
シエナのスカーラ病院、現在博物館のシンボルとなっているそう。
暖炉の上の紋章が、カスティリオーニ家の紋。
壁の下部には、こんな数々の標語で埋められた顔や植物柄があり、
天蓋付きのベッド。 柱の柄も凝っていますが、ベッドの幅がとても狭く・・。
これがマゾリーノとヴェッキエッタの共同作である、「ハンガリーの風景」、
1435年作と。
こちら右側がマゾリーノ・ダ・パニカーレ・Masolino da Panicale作で、
左側がヴェッキエッタ作と。
多分現在残る、見えるこの色は、下描きの色のみが残っているのだろうと思いますが、
緑色の山と平地があり、山の上に要塞や城、そして麓に町が。
ハンガリーのヴェズプレムかな・Veszprémという、1410年からの枢機卿の
任地でもあった思い出の地で、
1425年マゾリーノもハンガリーに出かけており、出会いもあったのと思いますが、
この絵が当時としては大変に貴重なものであるというのは、
宗教的な人物像、物事、建物類が一切なく、単純に風景画である、
という点なのだそう。
ウィキなどにはマゾリーノ作、と出ますが、左半分は色合いも描き方も違うのが分かり、
左半分はヴェッキエッタ作であるというのは、受付の若いシニョーレのお話、
買って戻ったパンフレットに因ります。
地球儀と、
会議室、かな。
一旦下に下る階段の所まで戻り、そこから逆向きの階段を下ると、
地下の、1階に当たるのかも、の礼拝堂に行き当たります。
塗りつぶされていたここの壁画が陽の目を見たのは1982年なんだそうで、
枢機卿の個人礼拝堂であったサン・マルティーノの礼拝堂。
この礼拝堂の壁画がヴェッキエッタと呼ばれるロレンツォ・ディ・ピエロ作で、
1437~1439年作、ヴェッキエッタが27歳から29歳という若い時期の作品。
ヴェッキエッタ・婆さん、と呼ばれるようになったのは、受付のシニョーレによると、
彼は聖人や偉い枢機卿などを描くのに、頬っぺたに深い皺を入れて描き、
それが「如何にもお婆さんの様に見える」と枢機卿はとても喜んだのだそうで、ははは、
そこから通称が「ヴェッキエッタ・婆さん」になったのだそう、
という、shinkaiにとっては何年振りかの疑問解決のニックネームのお話、でしたぁ!!
一時塗りつぶされていたせいなのか、少し細部が見え難いのが残念ですが、
最後の2枚は、頬っぺたの皺が良く分かるかなぁ、というのをどうぞ。
という、カスティリオーネ・オローナ訪問の第1回目、
次回からはいよいよ念願だった坂道の上の教会、洗礼堂と続きますので、
宜しくお付き合いをお願い致します。
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