・ 洞窟教会の一つ、原罪の地下礼拝堂 ・ マテーラ

今日のご案内はマテーラでいくつか見た洞窟教会の一つ、
「原罪の地下礼拝堂」と呼ばれているもので、

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ご覧の様な、生き生きとした素晴らしい壁画が残った洞窟教会です。



「原罪の地下礼拝堂」の「原罪」というのは、キリスト教の教えにおいての原罪で、
アダムとイヴが楽園において、食べる事を禁止されていた「善悪を知る知識の木の実」
を、食べた、のが原罪ですね。

で、この「原罪の地下礼拝堂」と呼ばれる洞窟教会は、壁画に描かれたモチーフから
その名で呼ばれているという事で、

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ラ・クリプタ・デル・ペッカート・オリジナーレ・La Cripta del Peccato Originale と。



どこにあるかと言いますと、マテーラの町中から14kmほど南西の、車で約20分程に。

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ここは最初は訪問予定に入っていなかったのですが、連日の雨で、最初の予定の
マテーラの町の向かい合わせにあるムルジャの考古学公園に行っても、
道がぬかるんで大変だろうからと変更してくれたもので、

確かにこんなお天気、風景の中を出かけ、

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雨がまた振り出しかなり強くなり、途中の地道も、葡萄畑の中も水が溜まり、

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到着した所は、一見、どこの風景?という様なカンティーナで、

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「ドラゴーネ・Dragone」というワイン醸造所で、広く周囲を取り囲む葡萄畑、
オリーヴ畑はすべてこの企業の物という事で、
今回訪問の「原罪の地下礼拝堂」も持ち主のオリーヴ畑から見つかったものです。

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内部には、自社のワイン、オリーヴ油の味見所、土地の産物のショップ、バールもあり、
予約によっては食事も出来るような感じでしたね。

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雨がひどくなり、ミニ・バスで洞窟の傍まで往復の送迎をして貰い、洞窟の位置まで
谷に沿った道を下ります。

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左に見えるのが谷で、川を挟んで向こう側にも洞窟が口を開けているのが見えますが、
ピッチャーノ谷・Gravina di Piccianoと言い、

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こんな風に谷底を川が流れているのが見えます。

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かなり下って、奥にこんな風に整備された洞窟が見え、

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こちらが入り口。 写真でブログ名が入っていないのが、サイトから拝借の物です。

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19~20世紀にかけての医者、考古学者でもあるドメニコ・リドーラ・Domenico Ridola
によって既に言及されていたこの礼拝堂が、再発見されたのが1963年5月の事。

ドメニコが羊飼いから聞いた話としては、羊飼いはこの洞窟を避難場所として、
自分と羊たち用に使っていたのだそうですが、

8~9世紀の物とみられるこの礼拝堂は、その後の長い悪条件の元の放置により、
苔の浸食やバクテリアにやられていて、様々な援護団体と修復作業によって回復、と。



谷の反対側から見る洞窟の様子。

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なぜキエーザ・教会ではなく、クリプタ・地下室なのかと最初思ったのですが、
地表から一段下、という事で納得ですね。



入口から入り、また少し階段を下ります。 

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これは下の脇扉を開けて光が入っている様子が見えますが、我らの時は雨のせいか、
上の扉のみ開いていて、後は小さな照明でとても暗く・・。



内部は写真禁止でしたので、サイトから洞窟内が分かる様なのをあれこれ探し、

こちらが全体で、左側に3つの大きなニッキ・壁龕があり、4つ目も少し掘り込まれ、
5つ目以降は壁画があったのかどうか、斜めに掘り込まれているのが変わりますが、

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奥の正面には、平面の壁画が見られます。



こちらが正面の3つの大きなニッキの物で、かってはこの上にも壁画があったのが窺え、

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で、正面のニッキはかなり深く掘り込まれていて、

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我らは正面に向かって2,3列に床、というか、石の凸凹の段に座り見学しましたが、
少し斜めの位置だと、ニッキの掘り込みが深くて脇側の絵が見えない、という感じ。



こちらが奥の平面の壁画で、旧約聖書のお話だと、すぐ分かりますね。

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右下に一段深く掘り込まれているのが見えるので、別の小礼拝堂があったのかも。



という事で、正面の左のニッキの壁画から順番にご覧頂きますが、
これは「3使徒」で、真ん中が鍵を持ったピエトロで、右がヨハネと読めそうですが、
右はアンドレかな?

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ご覧の様に、絵は大変闊達な筆使いというのか、余り細部に拘らず、かといって
ちゃんと髪形、顔、そして衣類の流れや柄もちゃんと描き分けていて、
見る側も心楽しく眺められる様子ですよね?

そして人物の脇に描かれた赤い花にもご留意を。



真ん中のピエトロの、鍵を持つ手と指。 楽しいでしょ?!

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どのニッキも3人物が描かれていますが、こちら中央のニッキの中心に聖母子がいて、
両脇にお付きの女性風で、モチーフも「聖母子女王・Madonnaregina」と呼ばれます。

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この洞窟教会、修道院もあったと思われるここは、ベネデッット派の物で、
壁画が描かれたのはロンゴバルド期、ビザンティン風の影響も見られるそうで、
「聖母子女王」というのもビザンティンの女帝の称号によるものだそうで。



聖母子のみを少し大きく切り取って見ましたが、

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確かに髪形、冠の形、肩の装飾品など、ラヴェンナのサン・ヴィターレ教会の
テオドーラ妃の物と似通っていて、衣類の柄、装飾にも精いっぱい
気を使っているのが分かりますね!



正面右端「3大天使」で、右からガブリエレ、ミケーレ、そしてラファエルと。

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そして奥の壁との境というか、上段の平面の壁画の下の左端、小さめな浅いニッキの部分、
手を洗っている場面は、「式典礼」の場面と。

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上の平面の壁画部分は大きく2つに分けられ、それぞれにまたそれを2分した画面で、
旧約聖書のお話ですが、

これが一番左の、「ルーチェ・光」。 創世記の一日目、「神は「光あれ」と言われた。
すると光があった」という場面で、

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なんと楽しい絵でしょう?! 「ばんざ~い! 光だぁ~!」と聞こえそうでしょう?!
こんな風に楽しさ、嬉しさが表現された壁画は初めて見ましたです。 
8~9世紀の時代の画家がね!! 中世の闇の時代はまだ遠かったのかな?



その右隣「祝福」。 左に祝福を与えている、この方は頭の光輪から見て神様がいて、
右にちょっと緊張して足を揃え、手も重ねてちらっと横目で確かめている人物がいて、
という事はアダムかな、何ともこの場面もユーモアに溢れ・・!
 
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そして、アダムの肋骨からイヴを作られた場面。 顔の表情が見えないのが残念!

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右端が、この地下礼拝堂の名称ともなっている「原罪の場面」。 
つまり、食べてはいけないと禁止されていた「善悪を知る知識の木の実・リンゴ」を食べ、

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最初に蛇にそそのかされてイヴが食べ、そしてアダムもイヴに言われて食べ、楽園追放、
になった訳ですが、

この画面では、食べている最中に既に体の前を隠していて、効き目が早かったか!
と勝手に想像して、ははは、shinkaiは喜びますが・・。

それにしてもカトリックの教えでは、善悪を知る知識の木の実を食べるな、というのがねぇ、
知らずに無知なままが良いという事を言いたい?とひねくれたくなりますが・・。 はは。



とにかく今迄見た事のない楽しい壁画で、マテーラで見た暗い洞窟教会とは一味違い、
これはご紹介したかったのですが、

とりわけ、この各場面に添えられた咲き誇る赤い花、芥子の様でもありますが、

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ガイドさんの言われるには、芥子ではなく、別の名を言われましたが、
言われた名で検索すると、紫っぽい、花もちょっと違うイメージのが出て・・。
丸い楕円の蕾の形、そして開く前に頭を下げている様子など、まさに芥子と思うのですが、

この花に因み、この壁画は、「マテーラの花の画家・Pittore dei Fiori di Matera」
の物、と呼ばれているそうで、

他の壁画が長年の放置により損傷し、見れないのが残念です、というよりも、
よくぞこんなに残ってくれた、と感謝した方が良いのかも、ですね。



と、この「ルーチェ!」が、今までの古い壁画への概念を取っ払ってくれた素敵な物!!

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サイトは、http://www.criptadelpeccatooriginale.it/index.php?lang=it
ヴィデオも見ることが出来ますが、
左に出る4つのメニューの内の一番下、ドイツ語版が一番詳しく見れます。

上記しました様に、この地下礼拝堂はカンティーナ「ドラゴーネ」の持ち物なので、
見学時間が決められていて、予約も必要なので、こちらでお確かめを。英語版もあり。
http://www.criptadelpeccatooriginale.it/index.php?option=com_content&view=article&id=25&Itemid=197&lang=it


入口から見る、谷と、平野の眺め。

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