・ 「三銃士」のダルタニャン   物語の背後に居た真の銃士は

皆さんはアレクサンドル・デュマの「モンテクリスト伯爵」や、「三銃士」を
読まれた事がありますか?

shinkaiは「三銃士」は大変面白く読み、「モンテクリスト伯爵」に
いたっては、へへ、愛読書と言ってよい程何度も楽しんでおり、

但し映画になると、「モンテクリスト伯爵」は長い時間経過を要する為か、
はたまた余りにもドラマチックな紆余曲折の為か、
映画となり実際に俳優が演じると、少し胡散臭げとなる感じで、

その点「三銃士」の方が、銃士の大胆不敵な活躍と、お話の面白さに
単純に楽しめる感じがしませんか?

という事で、何度も映画化されたのがTV放映されると、またか、と思いつつ
見て楽しんでおりますが、ははは、
ずっと「三銃士」は、時代の中の何かのネタを上手く使ったお話と
思い込んでいたのでしたが、

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そうではなく、実際のモデルとなった人物がおり、しかも大変勇敢な、
「フランスにかって存在したことの無かった価値ある銃士」であり、
それをまたアレクサンドル・デュマという、「不死身の筆者のペンにより、
話の主人公も不死身となった」というのを、最近知りましたのでご紹介を。

デュマのお話同様、お気楽にお楽しみ下さいね。

上の写真は、1960年にイタリアの「ルッキ出版」の一連の「ダルタニャン物語」で、

イタリア語で「三銃士」は「イ・トゥレ・モスケッティエーリ・I Tre Moschettieri」、
「マスケット銃士隊」という、16世紀から19世紀まで実際に存在した
マスケット銃装備の乗馬歩兵で、竜騎兵の一種、だそうですが、
銃を使っての戦闘場面は余りなく、もっぱら剣での突き合い試合ですね。

写真後ろに見える3冊の右が「二十年後」で、左上2冊が昔を懐しむ
「ブラジュロンヌ子爵」だそうですが、読んでおりません。



こちらが作者のアレクサンドル・デュマ・Alexandre Dumas (1802-1870)
大デュマ、父親の方で、息子のデュマの作品は「椿姫」が。

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ダルタニャンは実在の人物、と上記しましたが、当時既に人気作家のデュマは、
クールティル・ドゥ・サンドラス・Courtilz de Sandrasが1700年に出した
「ダルタニャン氏の覚え書き」

これはシャルル・ド・バツ-カステルモール・ダルタニャン伯爵(1615?-1673)・
Charles de Batz de Castelmore, conte d’Artagnanの
生涯をロマンチックに描いたものだそうで、

こちらが「覚え書」にあるという、実際のダルタニャン氏の肖像。

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そこから「三銃士」のお話、「銃士」に憧れ、ガスコーニュ出身の若者が、
蛇足ながら、ガスコーニュの位置を。 はい、shinkaiは知らずで、へへ。

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1625年パリに出て来て、(この年号はデュマが「三銃士」の中に書いた年で、
実際の生まれより10年近く年上になっており、これは作中の都合によるもの)
強剛の銃士アトス・Athos、ポルトス・Porthos、アラミス・Aramisと知り合い、
強い友情と揺るぎない兄弟愛で結ばれ、

枢機卿リシュリュー・Richelieu側の警護人達との絶え間ない衝突、
リシュリューが憎んでいる王妃アンヌ・ドートリッシュ・Anne d'Autriche、
はたまたその夫である、フランス国王ルイ13世・Louis XIIIの面子をも
策略から救う為、冒険活躍をする、というお話。


お話が単純な冒険談にしろ大変面白く、つい釣り込まれるのは、
周囲に登場する歴史上の実在有名人物が多いから、とも思うのですが、

物語では、悪の化身の様な、はは、リシュリュー枢機卿。 

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実際にはルイ13世の時代、約40年間に渡り宰相として実権を握り、
国政において大きな役割を果たし、フランスが絶対君主に至る道を敷いた、
大物実力政治家だったのでしょうね。



国王ルイ13世。 (1601年 - 1643年)

4-Luis_XIII,_rey_de_Francia_(Philippe_de_Champaigne).jpg


父アンリ4世が暗殺後8歳半にして即位し、母親が摂政となり、その後も
自分のお気に入りを用いたりで、国王とも宰相とも合わなくなり
最後はブリュッセルに亡命、ケルンで没。



という母親は、イタリアはメディチ家から嫁いだマリー・ド・メディシス。 
ルーベンス画1622年。

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ルイ13世の王妃アンナ・ドートリッシュ。 23年間の結婚の後、
遂に世継ぎ、後のルイ14世を得る。

6-Anna_of_Austria_by_Rubens_(1622-1625,_Norton_Simon_Museum).jpg



太陽王ルイ14世。

7-Louis_XIV_of_France.jpg

ヴェルサイユ宮殿における 太陽王ルイ14世の1日は
https://www.italiashiho.site/article/479317225.html



ルイ13世の王妃アンナ・ドートリッシュの愛人として登場の、ダイヤの
飾り紐事件、バッキンガム公爵ジョージ・ヴィリアーズ・Gerge Villiers.

8-GeorgeVilliers I duca di Buckingham.jpg

ホンマに、愛人だったん?



この他にリシュリューは、美人の魅力を使って巧みにスパイし、純真な者を
罠に落とすミレディ・デ・ウィンターなる人物もいるし、

おまけに彼女には、かっての罪状を印す刺青があり、アトスのかっての
妻だった、という事も明らかになり、

バッキンガム公爵も暗殺され、これは実際に、ダルタニャンに恋する
コンスタンスも命を落とし・・、



こうして一連の大胆不敵な冒険活躍が一件落着の後、
4人の銃士はそれぞれの道を進む事となり、

ダルタニャンは国王補佐役に任命され、教養あるアラミスは僧侶となり、
強固なポルトスは結婚を。 

そして一番神秘的で魅力あるアトスは、遺産を受け継ぎますが、
彼らの冒険は続き、上記した2冊で語られます。

9-DArtagnan-il-reale-moschettiere-3.jpg



で、こちらが新聞「世紀・Le Siècle」に載った、1844年3月14日から
「三銃士」の連載が始まりますよ、というお知らせ。

10-DArtagnan-il-reale-moschettiere-2.jpg



所で、最初に実際のダルタニャンの名前を見た時「伯爵」とあるのに、
ちょっと驚いたのでしたが、

シャルル・ド・バツ-カステルモール・ダルタニャン伯爵なる方、
貴族の4男に生まれたものの、実際は経済的に大変貧しい家系で、
伝統的に男子は軍の世界での経歴を積む事になっており、

20歳の彼もこの道を進み、15年の軍勤めの後、リシュリューの後を継いだ
マゼラン枢機卿の下に。


マゼラン枢機卿・Jules Raymond Mazarinというフランス名になりますが、
元々はイタリア人の外交官でもあり、ルイ14世の元でリシュリューの跡を。

11-Cardinal_Mazarin_by_Pierre_Mignard_(Musée_Condé).jpg



1690年に描かれた、ダルタニャンの肖像。

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ダルタニャンはマゼランの下で、マゼランが銃士隊を解散する1646年まで
働き、その後はマゼランの下で多分スパイの様なデリケートな仕事や、
政敵の逮捕、また保護などの仕事を続けており、

義務感と正義感が強く、優秀な分析力を備え、自分の理想への忠実さを
持ち、1661年マゼランの亡くなった後はルイ14世の信頼も厚く、
フランス北部、ベルギーに近いリール・Lilleの知事に任命をされます。

が、ダルタニャンは政治よりも戦争が好きで、
1672-1678年のフランスとオランダの戦争が始まり、ルイ14世によって
呼び戻されると、大喜びで闘いに参戦の為に戻り、

で、こうして1673年のマーストリヒトの包囲戦に参加の際、
6月25日頭にモスケット銃の弾が当たり、戦死、58歳の生涯でした。



アメリカで出版の「三銃士」の漫画本シリーズ。

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こうして、「フランスにかって存在しなかった価値ある銃士の生涯」が、

不死身の筆者のペンにより、話の主人公も不死身となった」というお話でした。

まだ読んでおられない方、是非是非!! 

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