・ ヴィスコンティ家の 香り付きおしろいと、香水のお話 そして

今回はちょっぴりロマンチックな香りも漂う、ヴィスコンティ家の逸話、
20世紀初頭のアール・デコのイメージ濃い世界にお遊び下さいね。

参考にしたサイト記事は
VISCONTI, UNA STORIA PROFUMATA
ですが、他にもあれこれ。



こちらは「おしろい・チプーリア・Cipria」の宣伝に使われた音楽、
フォックス・スローの楽譜なんだそう。

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一番上に見える AL CONTE GIUSEPPE VISCONTI DI MODRONE・
モドゥローネのジュゼッペ・ヴィスコンティ伯爵、

はい、かの有名な映画監督ルキーノ・ヴィスコンティ・Luchinoの
お父様の名前。



箱に見えるサイン部分 がこちらで

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"Giacinto innamorato" di Gi.vi.emme の
Gi.vi.emmeが、自分の名を冠したメーカー名。
 
emmeは、Mのイタリア語読みで、モドゥローネを表し、

Giacinto innamorato ・ジャチント・インナモラートが、
香料入りおしろいの商標名「恋するヒヤシンス」

この素敵な名前を付けたのは、作家であり家族の友人でもあった
ガブリエーレ・ダヌンツィオだそうで、
香水の主成分のヒヤシンスにちなんでの名前で、
なにせ彼は言葉使いの名人でしたものね。


で、Gi.vi.emmeは1920年代、30年代のイタリアの大きな
香料メーカーの1つだったそうですが、
それ以前もヴィスコンティ家はビロードの織物工場でも有名だったと。


こちらが、モドゥローネのジュゼッペ・ヴィスコンティ伯爵(1879-1941)

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鼻下のお髭が見えないので、お若い時の写真と。



こちらがお髭のある肖像画。

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彼は1900年ミラノの大製薬会社の娘、優雅なカルラ・エルバ・
Carla Erba(1879-1939)と結婚。

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大変な美人で、当時の女性のドレス姿というのは、なぜこんなに
ロマンチックなのでしょうねぇ!



モルドーネのヴィスコンティ家というと、ミラノ公であったヴィスコンティの
本家筋ではなく傍系ですが、いずれにしても古い貴族家系に違いなく、
ただモドゥローネという所領地の位置が確認できず。
多分ミラノの西に位置するヴェルチェッリーナ・Vercellina周辺かと。


つまりイタリアでも最も古い貴族家系の1つと、
ミラノの薬品大産業帝国が結びつき、娘婿に香水、化粧品産業の
話を持ちかけたのは舅のルイジ・エルバだったそう。

元々多趣味で、貴族の義務としてのミラノのスカラ座理事会のメンバー、
おまけに彼自身アマチュア俳優で、化粧をし着飾るのも好きで、

自身の邸内のホーム・テアトルで。

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と並べると、どうやら家柄、格式、財産が上手くつり合った結婚で、
実業家としてのジュゼッペの才能も見込まれており、

彼は公然とバイセクシュアルだったというのも余り関係なかったのか、
2人は7人の子に恵まれ、


その内の4番目の男子が、映画監督となったルキーノ・ヴィスコンティ。

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少しお話を元に戻すと、化粧品、香水に元々馴染んでいた様子の
ジュゼッペは、舅からの依頼で香水を作り始めると、
フレグランスの混合に夢中となり、

舅の工場内で1911年に"Contessa Azzurra・青い伯爵夫人"を作りだし、
これ想像するに多分自分の妻に捧げた作品ではと。


そして自分の会社Gi.vi.emmeを設立、ヴェネツィアのガラス製造、
小瓶への装飾技術を使い、貴族社会の肥えた目、趣味が生かされ、

ハーラー煙草・Tabacco di Harar、新鮮・Fresco、森林の水・
Acqua di Selva、など、これらは市場に出回っている製品の中で
数十年続いた製品だそうで、名前から見て男性用かな?


ムッソリーニがイタリアで権力を握った1922年のローマ進軍の後、
実業家たちは自分たちの専門社会の中でリーダーになる事を楽観し、
彼は革命的な時代を代表する新しい香水を作りたく、

この目的でイタリアで最初の全国市場調査も数か月に渡って続け、
そうして出来た新しい香水が「恋するヒヤシンス」だったのですね。

宣伝にもお金をかけ、瞬く間に有名になった新しいフレグランス、
「恋するヒヤシンス」

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香水瓶も、金色をたくさん使った美しいアール・デコ調のパッケージ。



おしろい、タルカム・パウダー、ポマード、クリーム、石鹸、香りの煙草等、
新しい製品が続き、容器もガラス、陶器と当時にあっては特別製で、
アメリカへの輸出も始まりますが、戦争の為中断。

ミラノの香水店 1955

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そして多分伯爵の没による会社の代替わり、映画監督となったルキーノ
以外に彼と同種の趣味、目を持つ跡継ぎ息子はおらず、だったものと。
で、1970年にGi.vi.emmeは活動を停止したのだそう。

時代の狭間にあって咲いた、まさに没落していく貴族社会の花の様な、
という感想を持ったのでしたが、



モルドーネのジュゼッペ・ヴィスコンティ伯爵とカルラ・エルバの結婚式が
行われ、カルラがこのヴィッラを相続、後に彼らの子供たちが夏を楽しむ
別荘となったヴィッラ・エルバ・Villa Erba、

コモ湖畔のチェルノッビオ・Cernobbioにあり、ヴィッラ・デステのすぐ近く、
の豪華な内装をどうぞ。

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現在は毎夏の終わりか秋の始まりに、イタリアの経済界の大物達が
集まる大講演会のニュースで有名な場所となっており、展示会もあるのかな、
というヴィッラで。

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ヴィスコンティの持ち物ではなくなっておりますが、

ルキーノ・ヴィスコンティの映画の中に何度か登場したり、
彼自身がここに引きこもり、映画の編集をしたりで、
どうやらその一郭が博物館となっている様子で、公開されていると。

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こちらはかっての写真で。 下手な宮殿よりも凄い感じ!

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ともう1つ、モドゥローネのジュゼッペ・ヴィスコンティ伯爵という名前で
有名なのは、ピアチェンツァの南にあるグラッツァーノ・ヴィスコンティ
Grazzano Visconti という小さな村。

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小さな中世の面影を残す村が、ジュゼッペが父親から引き継いだ時
彼は映画の舞台の様に、中世の村にせっせと村中を模様替えし、


古い城もあったのを自分のイマジネーションを加味し修復。

18-Castello_di_Grazzano_Visconti_visita-img2490-02-1_GF.jpg

ルキーノはこの城にも友人達を連れて行き、映画のシーンにも
登場しているとの事。



shinkaiは最初グラッツァーノ・ヴィスコンティの写真が検索で
見つかった時に、これは凄い!見たい!と驚愕し、
昨年秋に出かけたのでした。

が、実際に村中を巡っているうちに、段々に、これはやりすぎ!と
いう気持ちが強く沸いて来て、

つまり、中世風の建築法、装飾などは風化に晒され、ほんのちょっぴり
残っている姿が美しく見えるのであり、

中世当時城の広間に描かれていたジグザグ模様、格子柄などが、
田舎の農家の壁に描かれているのはやはり気になりますしね、

如何にもの姿は、過ぎたるもの、及ばざるがごとし、の言葉通りと。

まさに村は浜辺同様な観光客で溢れかえり、城見物も写真はダメ、で
がっくりと戻り・・、はぁ、未だにブログに挙げておりませんのです。
も少し時間が経ち、咀嚼できましたらね、ははは、です。



最後、こちらはミラノにある、モドゥローネのヴィスコンティ伯邸。

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麗しのヒヤシンスの残り香が、皆様にも伝わりましたでしょうか?


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