・ 「若者の肖像」 ・ 英 ロイヤル・コレクション 作品周辺あれこれ

今回は初めて知った「若者の肖像画」、それも英国はウィンザー城
の現博物館に所蔵との事で、

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画家は誰、モデルは、どの様な経過で、等など、その周辺も
様々知った事のご案内を。

最初に読んだのは、
ウィンザー城には、国王たちを「スパイ」し、現在は観光客を「スパイ」する

記事のサイト元はブレーシャ新聞で、読者呼びに「スパイ」だのと、
ちょっと言葉で煽っておりますが、

その後ウィキペディアの伊版に、も少し詳細に書かれているのを
見つけましたので、どうぞ。
Ritratto di giovane (Romanino)


最初に目が留まったのは、モデル自身はかなり着飾っているものの、
若者独自の目の表情の描かれ方がとても優れている、と思ったからで、

2-ritratto-di-un-uomo-del-romanino_GF.jpg

衣類と帽子も上品、帽子に白いダチョウの羽が更にエレガントな
味を添え、赤みがかった金髪の髭、

そして帽子のつばの下に見えるのは金色のネット・スクフィオット・
これは髪を纏めるのに使用され、当時とりわけ軍隊で髪を長め、
バイキング風にするのが習慣だったからだそうで。

更にこの若者が単なる兵士には見えず、衣服の豪華さから考え、
貴族出身であったろうと。


で、この作品は長い間国王の着替え室に展示されていたそうで、
そもそも1846年にヴィクトリア女王の王配・夫 アルバート公が購入。

こちらがお2人。

3-Cover-P1_GF.jpg

お2人の仲は良く9人もの跡継ぎに恵まれたものの、アルバート公は
42歳の若さで亡くなり、ヴィクトリア女王は40年間の寡婦生活を。

イギリスのヴィクトリア女王と、 従僕ジョン・ブラウンの・・
https://www.italiashiho.site/archives/20201202-1.html


アルバート公は優れたセンスをお持ちでしたが、美術の専門ではなく、
「ジョルジョーネ」の作品として購入されたものの、


1909年に作品はジョルジョーネではなく、ジローラモ・ロマニーノ
Girolamo Romanino(1484頃-1566)ブレーシャ出身 
の作品と判明したのだそうで。


そして最近の修復により、以前考えられていたよりも保存状態の
良い絵画の表面が明らかになり、
パネルの一部の破損や、所々の色の喪失にも拘らず、
作品はまばゆいばかりの元の色に戻ったそう! 素晴らしい!


ジョルジョーネ・Giorgione はご存じですね? ヴェネツィアのアッカデミアに
嵐・テンペスタ」の秀作がある、ヴェネトのカステルフランコ出身の画家で、

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彼は何枚か素晴らしい青年の肖像画を残しておりますが、その1枚を。

5-Giorgione,_ritratto_di_guerriero_con_uno_scudiero,_detto_il_gattamelata,_1501_ca._(uffizi)_01_GF.jpg

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こうして見て頂くと、今回の主人公の作品との、画家の肌合いが
違うのがお判りいただけるかと。

いずれにしても両者ともヴェネツィア共和国内出身で、年代も近く
ヴェネツィア滞在のあったドューラーの影響も認められるとの事。


カステルフランコの町 ・ ジョルジョーネ展
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/462522712.html


で、イギリスにおけるロマニーノの作品は珍しく希少で、それもあって
今回記事(今年3月)になったのかもで・・。
こちらがイギリス・バークシャー群にあるウィンザー城

6-2-il-castello-di-windsor-nella-contea-del-berkshire-in-inghilterra_GF.jpg


絵画約7000点、4万点の水彩画、そしてタペストリー、陶器などの
豊富なロイヤル・コレクションの一部となり、
英国王、女王の所有する様々な邸宅に分けられているのだそうで。


もう一度こちらの写真を。

7-ritratto-di-un-uomo-del-romanino - Copia_GF.jpg


帽子のつばを抑える白と金色のリボン! 髪抑えのネットは上記、

ジャケットは金の刺繍が施され、多分チュニックとして長いサイオーネ・
saione、その上にシャツの上にファッショナブルに開いた非常に
大きな暗色のマント、

胸の前には、短刀を身に着けているだろうレースが見え、というのですが、
どれがレースなのか分からず、短刀の柄の事だろうか・・。

右腕に見えるバッジはまだ特定されていないものの、

ヴェネツィアのカルツァ同胞団・Compagnie della Calzaに属して
いたのを示す可能性があると。

カルツァとは、ほら絵画の中によく見る、若い男性たちの脚を覆う
長靴下、両脚同色、または色違いの2色とか、のあれで、

ウィキの説明によると、様々な一団があり、カルツァの色と、
複雑な刺繍マークで区別されており、
カルネヴァーレの時など貴族向けのショーや娯楽を促進した団体と。

ただカルツァ同砲団、というのは、どうやら1段高い位置にあり、
1574年のフランス国王アンリ3世の様な君主訪問の祝賀会とか、
毎年恒例の重要な昇天祭・センサ、の時に動員されたと。


フランス国王アンリ3世のヴェネツィア訪問
ちょっぴり歴史に名が残る、 我が町コネリアーノの様子を
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/467229891.html


で、ウィキの説明では、同様の上着のサイオーネは、ラファエッロの
描いたフレスコ画「ボルセーナのミサ」の兵士や、
クレモナ大聖堂のロマニーノのフレスコ画にも登場人物が
着用しているのが見つかる、との事で、早速に。

ボルセーナのミサ・Messa di Bolsena」 ラファエッロ 1512-14
ヴァティカンの「ラファエッロの間」の一部

8-Massatbolsena_GF.jpg


ボルセーナとはボルセーナ湖・Bolsena、ラツィオ州ヴィテルボ北に。

お話は1263年教皇ウルバヌスの時代に、ボルセーナの教会
サンタ・クリスティーナで起きたという「聖体の奇跡」を描いており、

ええとです、「聖変化」の教義を疑っていたボヘミアの司祭が、
ミサを行いつつ、
一体この「聖餅」が神の肉身であろうかと思っていると、

聖餐のパンが血を流しはじめ、流れでた血がテーブルの布上に
「十字架」を形作り、司祭は信仰に立ち返った、というお話。


で時代が流れてのフレスコ画で、壇上右に膝まづいておられるのが、
時の教皇ユリウス2世。

9-Messa_di_bolsena_05_GF.jpg


嫌がるミケランジェロに、かの「システィーナ礼拝堂」の天井画も
描かせた偉い方。 「描かんとぶっ叩くぞ!」と脅しつつ、ね。


この時の布の聖遺物を収める為に建立されたのが、かのオルヴィエートの
聖堂なんですと。 これも知らなんだ。


で、右下に固まっている一団が、ほら、上の青年と同じ様な衣装を
着けていますね。 ユリウス教皇が制定したスイス衛兵なのだそう。

で、真ん中奥でこちらを向いているのが、ラファエッロの自画像と。

10-Raffael_089_GF.jpg

頭にターバンを巻き、なんとなしお風呂上りか、シャワー後みたいに
見えて笑いましたが、ははは。


うん? スイス衛兵の制服、ってこんなんだったの?
昔はこうだったの? とまたウィキ先生を検索すると、

元々のスイス衛兵は、教皇ユリウスが1505年、臨時の傭兵
制度を止め、常備軍として創設したのだそうで、
教皇が負担した創設費はかなりのものになったと!

200人の希望が結局150人、1506年1月22日にスイス衛兵
がポポロ門から入り、教皇に迎えられたそう。

1527年5月のローマ劫掠の時には189人のスイス衛兵の内
147名が戦死!とか、教皇領が1860年に解体した時には、
雇用する財源がなく、衛兵達がレオ13世に対し反乱を起こしたり、
様々な経緯があったものの、

ピウス10世(1903-1914)の時に、スイス軍からの折衝もあり、
スイス衛兵は維持される事に。

そして16世紀ルネッサンス時代の制服が復活。

11-Obama_Clementine_Hall_2009_GF.jpg

世界で一番重い、何百という程のパーツの縫い合わせの制服で、
オリジナルはミケランジェロのデザインと。

やっぱりカッコ良いなぁ!! 

チラッと写っているオバマ元大統領に気が付かれましたか?
彼もカッコ良かったですねぇ。

スイス衛兵の現在は、スイス軍の希望者からの選抜派遣となり、
給料は薄給でも、はは、住宅、食、免税もあり、様々な職業技術も
学べ、スイスに戻る時は、この制服が頂けるそうです。


***

最初は、短いサイト記事の「青年の肖像」から出発したのでしたが、
あれこれ次々検索しつつ知り、大いに楽しみました。

読んで下さった方々にも、どうぞ楽しんで頂けましたように!


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posted by shinkai at 01:57Comment(0)・欄外