先月半ばに友人たちと出かけた「栗祭りの村 コンバイ」の戻りに、
近くのモリネット・デッラ・クローダ・Molinetto della Croda の水車小屋
に寄ろうという事になり、山道を通って水車小屋に至る道に到着。
ここは周辺の景色がとても美しいのも評判で、
ヴェネトの紹介記事にもよく登場する所なので、日本からの友人にも
紹介しようという事で、エレオノーラとも意見が一致したのでしたが、
さて駐車場に到着して見ると、こんな看板が。
ちょうど翌日曜と次の日曜に村のお祭り、「かっての庶民の服装で新収穫を祝う」
がある、という看板で、まぁ、一日前の様子という事で・・!
古い写真に見る水車小屋は変わっていませんが、
ロバの背中に袋を積んで運んでいる姿や、村人のお祭りの姿も見えます。
駐車場から道を辿ると、こんな風に水車小屋が見えてきて、
モリネット・デッラ・クローダはどこにあるか、地図をどうぞ。
コネリアーノからは北西の方向に、車で30分ほどの距離で、
我らはコンバイ・Combaiから、13世紀の修道院のあったフォッリーナから東に、
ロッレ・Rolleを通り到着。
以前に2度ほど訪問していますが、その時の様子を少しこちらに。
と、ロッレは大変に美しい古い葡萄畑が広がりますが、その一部をこちらに。
この地を流れる川はリエルツァ・Lierzaで、ロッレ近くからの湧き水で
全長約20km、ソリーゴ川に注ぎ、そしてピアーヴェに合流する、
この辺りでは小川、に見え、何羽かガチョウたちが遊んでいましたが、
以前はもっとたくさんここで騒いでいたのですね。
近づいてみる水車小屋で、有り難い事に開いておりました。
サイトからの写真で、前の入り口辺りを。
実は、このいつもは半分眠っているような穏やかなリエルツァ川なのですが、
3年前の2014年8月2日の夜、大災害を引き起こしたのでした。
この写真は昨年の物の様ですが、これと同様か、もっと凄まじい洪水となって
この水車小屋の横、高さ12mあるそうですが、ここを流れ落ちました。
そしてこちら側にある広場で、大テントを張り、中でこの一帯の男性たち、
他所に働きに行っている人や、この地に根っこを持っている男性たちが集まって、
恒例の「男たちのお祭り・フェスタ・デイ・オーミニ」をやっている所を一撃され、
4人の死者、8人の怪我人が出るという大惨事となりました。
川縁には石組の高い塀があったのを越え、1m高さに土砂が流れ込んだのですね。
ニュースでは、中で飲み歌い食べていた男性たちが、侵入してくる水に
ベンチの上に上がって騒いでいる姿が出たり、腰まで水に浸かって避難している
ヴィデオなども出ましたが、信じられないような豹変した川の姿でした。
後には、長年の間に積もった泥や屑が橋のアーチを塞ぎ、それを越える鉄砲水と
なった事なども指摘されましたが、
近辺全て葡萄畑となって、土地を抱える力が無くなっている、という指摘も。
そんな近い記憶のある土地だけに、以前の通りに、以前以上に整備されている様子に
半ば安心して水車小屋に向かいましたが、
上から樋を伝わって来て、水車を回している水。
この水車小屋は出来たのが1630年で、徐々に管理人一家の住まいも追加され、
家畜小屋、そして穀物蔵と増築されていったのだそう。
名前のモリネットは、小さな水車、クローダは、岩壁ですから、
まさにこの岩肌にへばりつく様な水車小屋を表していますが、
遠く人家から離れたこの地で、何世紀も水車の力で粉を引き、第一次大戦の爆撃も
やり過ごして来た水車小屋も、1941年1953年と洪水に襲われ、
ついに2度目の洪水の後は閉じられて、荒廃したのだそう。
それを1991年にこの地のレフロントロ市・Refrontoloが買い取り修復、
博物館となり、子供たちの見学場所ともなっていると。
で、我々も梯子段みたいな狭い急な階段を上り、2階の居住部分の見学を。
ここが台所兼居間で、
かっての炉は閉じられ、横にストーブも付けられていて、これは暖かくもあり、
上で調理も出来る優れもので、今でも良く使われているもので、
この家族の歴史も垣間見えますね。
隣の小部屋は流し場で、きっと横の樋から水を汲み、
使った水は横に流していたのでしょうね。
部屋の壁にはあれこれ、かっての生活道具が並び、
窓辺の小テーブルの上にあった写真、ジローラモ・モルガン・Girolamo Morgan
1869年生まれ、モルガン家の家長と。
きっと厳しい時代を生きた方なのでしょうね。
天井の灯、今は蛍光灯ですが、電灯の笠を飾るレース編み。
色といい、形といい、懐かしい趣ですねぇ。
窓辺にあった、ツバメの巣かな、
隣の部屋は一段高くなっていて、入り口脇にあった小さなベッド。
子供用で、お丸も見え、
奥にはダブル・ベッド。
修復された折に壁などもすべて塗り替えられ、整理されたと見え、
ちょっと小綺麗になり過ぎていますが・・。
無料拝見はここまでで、部屋の中には入れず、階上にも行けませんで、
残念、下に降ります。
1階部分では、シニョーレがせっせと粉を引いていて、
上から順調に落ちていくように、ときどき手で混ぜていて、
こんな風に、ざっ、ざっと、白い粉が手前に落ちて来ます。
明日からのお祭りに備えて、トウモロコシを挽いているのだと。
明日のポレンタはきっと美味しいでしょうねぇ!!
下を覗き込むと、回る水車からの横棒が回り、歯車に動力を伝えているのが見え、
横に下がるトウモロコシ。
これはまぁ飾りでしょうけど、新収穫を祝ってのお祭り、といっても、
今年のトウモロコシはまだ挽けないよね? と思ったのですけど・・。
どなたか、どのくらいの期間で乾燥するかご存知でしょうか?
横の部屋を覗くと、倉庫で、いろんな雑貨があって興味深く。
右奥には、葡萄絞り器も見え、大きな盥や、手前にはツトで囲った瓶も。
この大きなのには何リットル位入るんだろ?!
隣の小屋の軒下のトウモロコシや牧草、籠、
そして、窓の飾りつけ。
お祭りの写真を探しましたら、こんな懐古調の服装の子供や、
台の上に並ぶ木底の履物、
そして、大鍋で作っているポレンタ・トウモロコシの粉の練り物、などが
見つかりました。
お天気の良い日が続きましたから、きっと大賑わいのお祭りだったことでしょう。
最後は、美しい雪景色の水車小屋をどうぞ。
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この記事へのコメント
ミ~タ
被害直後の写真では、水車小屋の向かいの建物の窓の高さまで土砂が積もっているのが分かります。
それにしても、よりによってお祭りの日に氾濫するとは。
お酒も入っていたでしょうから、突然のことになすすべもなかったのかもしれません。
日曜日の収穫祭りは、観光客を呼ぶためではなく、
村人たちが昔の衣装を着て、自分たちで楽しむものみたいですね。
shinkai
そうなんです、あのニュースを見た時は信じられなかったです。 普段はちょろちょろと流れ落ちているような水ですしね。
皆さんは、あのお祭りを楽しみに帰ってくるみたいで、お酒も飲んでいるし、水かさが増えだした時も逆に笑っているヴィデオも後に見ましたが、皆がまるで本気ではなかったのでしょうね。
怖いものです、自然の恐ろしさですね。
多分仰る通り、あれこれ収穫が済んでの秋祭り、という感じで、かっての貧しかった田舎の生活を振り返って楽しむ、今それが回顧できる余裕がある、というのは良いですよね、のお祭りなのでしょう。