・ レオナルド・ダ・ヴィンチの発明になる、ヴェネツィア式製材所の見学

この夏ドロミーティに行った時の様子をあれこれご覧頂いてますが、
一番新鮮に「おお!」と見たのは、山間に設えられた水力で動く製材所、
ヴェネツィア式製材所と呼ばれる、古くからの製材所の様子でした。

「ヴェネツィア式」と呼ばれる理由は、かってヴェネツィア共和国が
この一帯に水力利用のための設置を勧めたという事なのだそうで、
しかもその製材機械の設計、発明はレオナルド・ダ・ヴィンチ!なのですね。

彼は多くの傑作絵画も残していますが、それ以外にもたくさんの発明、
アイディアのデッサンを残しておりますが、

これが彼の製材機のデッサンで、

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こちらがそれを元に作ったモデルで、一度こちらでご覧頂いていて

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水力で水車が回り、真ん中上に飛び出している柵に据えられた鋸歯が
製材し、右上に見える歯車と左に落ちる錘が連動していて、
製材が済むと、木が元の位置に戻る、という仕掛けです。



という説明だけでは分かりにくいと思い、ヴィデオを探しました。
地図でご覧頂く様に、ボルツァーノの南にあるカヴァレーゼ・Cavalese
の山間に残る、現在は市の博物館となっている1888年建設の製材所で、

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これはヴィデオのシニョーレが説明している様に、それ以前のずっと古くからの
製材所が、1882年の川の氾濫で崩れたのを再建したものなんだそうで、
このシニョーレは1973年までこの製材所で働いていた方で、
多分その年にこの製材所も閉鎖になったのでしょうね、

当時この製材所は冬期11月から4月まで稼働し、というのも雪があるので、
木材を動かすのが楽だったからで、
2人が12時間づつ、正午から真夜中まで、真夜中から正午までの6日間、
という24時間操業で、製材した材木の量、出来高による賃金で、
とても安かったという話。

ヴィデオでは、丸太をどのように製材機に乗せるか、どのように水車を動かし、
鋸刃が動き出したらどうするか、という様なのが実際にご覧頂けます。
https://www.youtube.com/watch?v=SCK4kC-ubc0



でこの夏shinkaiが見に行ったヴァルザンカ・Valzancaという山間の製材所の
位置はこちらシエーガ・デ・ヴァルザンカ、製材所というイタリア語セゲリーア・
Sangheraも土地の言葉で、シエーガと。

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シロール・Sirorから行き、途中の景色、お昼を食べたもっと山奥の
レフェヴァイエ・Refevaieの山小屋などはこちらで。



道が分かれるカオリーア・Caoriaから細い地道を行きますが、
お天気が少し崩れ、こんな空と山の様子。

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小さな可愛い祠も見ながら進み、

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川の流れの向こうに、立派なかっての農家も見えた所で、
手前の道脇に駐車し、橋を渡ります。

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奥に見える2棟の、奥側が製材所で、手前は現在バールとトイレに。

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川が流れ、川岸の手前にあるのがかっての頑丈な石壁の建物を利用した
トイレで、勿体ない位でしたが・・。

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屋根はこんな板葺き。

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こちらがヴァルザンカの製材所で、2002年にこの一帯の様々な自然博物館の
一環として建設されたというもので、古くからあるものではなく、
夏の間と、リクエストがあった時に公開し、動く様子を見れるというもの。

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shinkaiは以前に、彼らたちが行って見たという話を聞き、レオナルドの発明品の
モデルを見ていた事からも、実際にどの様に動くものかを見たく、
行って見たいと希望したのでした。



川床への高さを利用しての2階建てという形で、入るとこんな様子で、
製材する丸太を並べた囲いの所で、シニョーレがあれこれかなり神経を使って
丸太の隙間調整をしており、

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こちらは手前側にあった、一番右の細めの丸太を使って、製材する丸太を
ぴっちりと動かなくするための調整具。

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2本並んだ丸太の左側に鋸刃の位置が決められており、
手前の柱壁にある調節具を決めていて、

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鋸歯がギギギギと上下しだし、



ちょっと見難く申し訳ないですが、かなりの速さで刃が進み、製材されて行き、
丸太が載せられていた囲いは少しずつ前進していきます。

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これが上下する鋸刃。

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横から見た調節具類。 柱の下側に見える白い木製の羽根板と丸いのは、
動かす時に見ておらず、今回の上のヴィデオで知った、鋸歯の速度調節器で、
その上に段々に並ぶ横金具と上から降りる鉄棒は、外の水車に当たる水量調節器。

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これが奥側から見た、製材しながら丸太の囲いは徐々に前進して、最初にあった
場所が空になった所で、囲いの下にコロが埋められ、前進を助けているのが分かります。

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コロの並んだ左に小さな四角い穴が開いていますね、あそこから下にもぐり、
製材所の機械部分を見ることが出来ますので、後程。



鋸刃の速度調節の羽根板からの棒が地下に行くのと、横の曲がった鉄棒も
地下の歯車類の調節なのでしょうね。

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木材の囲いの動きを助けるコロの並び。

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狭い小さな穴に滑り込み、急な細い梯子を下りると、この地下部分で、
一番手前左の大きな丸い輪が水車からの連動部分で、それに連れ、動き、
回る、機械類とベルトが見え、

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下や横に見えるベージュ色のふわっとした塊は、
上から落ちて溜まったおが屑!



これが水車に繋がる横棒で、

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外に回る水車が見え、

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水車に落下する水の勢い!

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いやぁ、今まで水車というと製粉所くらいしか見た事がなく、いわば実際の
水力を知らずにいたのが、今回見たこの水の威力、ガッガッガッと力強く
製材するのに本当に驚き、わぁ~お! という感じだったのですね。
流石ダ・ヴィンチ様、戦の為の機械みならず、こんな設計もされておられました。



上に戻ると、壁際に据えられていた、板に挽いた木材を角材に挽くもので、

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板材を寝かして押すと、刃がぐいーんと回り、これもたちまちに角材に。

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と、これは小屋の入り口にあったものですが、丸太を寝かせ刃を当てると、

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これも単純にギコギコと動き、あっという間に引き切ります!

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という3仕事を水車一つで引き受け、こなしている訳で、その威力は感動もの!!

どの仕事にはどの位の水車を回す水が必要か、
それによって水を落とす樋の角度を調整しているのが分かりましたし、



これが小屋の裏側からの眺めで、1階部分が製材所で、下が機械室ですね。
で、こんな風に水が樋から落とされていて、この時は殆ど水車に当たらない角度。

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樋で運ばれてくる水と、

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水車に当たる部分のアップ。 樋の端に鉄棒が見えますが、あの上下の調整で、
水力、動力源の調整をする訳ですね。

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所で今回の古い製材所の仕組みを見て頂くのに、あれこれヴィデオや資料を
探したのですが、こんな古い記事と写真も見つかりました。
これはベッルーノの元建具職人の家に保存されている、ヴェネツィア式製材機
ダ・ヴィンチの発明によるものとして、大切に保存されているもの。

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ベッルーノ一帯にはやはりヴェネツィア共和国からのお達しで、
この製材機を据えたのが当時あちこちにあったのだそうで、
この一家、ダル・ポンテ家の祖父が、1950年代に買ったものなんだそう。

この機械では直径75cm以上の丸太が挽けるのに対し、売主は1,2mのが欲しく、
それで売り下げたのだそうですが、大きいのと、この家には水の流れがなく、
別に2階建ての小屋を作りそこに据え、1年ほど30馬力のトラクターのエンジンで
活用したのだそうですが、
時代の変遷で、1955年から220ヴォルトの電力も届き、使われなくなったそうで・・。

現主人も始めは家業を継いでいたのも現在は勤めに出ていて、
趣味で木工業をしているのだそうですが、やはりこの製材機は大事にしているそう。


レオナルド・ダ・ヴィンチがヴェネツィアにやって来たのは1500年の春、
画家としてより、まぁ、イザベッラ・デステのデッサン肖像を持っていたそうですが、

トルコ軍侵略に対してのイゾンツォ川の動く堤防の設計やら、町の城壁作りなど
技術的な仕事をいくつか、動く堤防は莫大な経費必要でおじゃんになり、
またパルマノーヴァの星型の町造り、大砲に備えた城壁もレオナルドと読んだ事があり、

発明品のモデル展で見た「杭の打ち込み器」等如何にもヴェネツィアに相応しく、
案外商才にも長けた方の様なので、製材機の発明などもこの時期の物かもと。


最後に見て頂くヴィデオは、山を越えてのオーストリアの物ですが、
やはりヴェネツィア式製材所と呼ばれ、同形の製材機、丸太切りも見れます。
Segheria Veneziana - Wegelate Säge
https://www.youtube.com/watch?v=ofq5ojB5vMU

何世紀にもわたり山の人々の生活の中に入り込み、仕事を助けて来た
ダ・ヴィンチの意外な発明、とても興味深い物でした。


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