さて今日はミラノのブレラ絵画館再訪のその2、のご案内を。
これは意外な方のフレスコ画で、というのもルネッサンス期を代表する建築で
有名なブラマンテ・Donato Bramante(1445頃~1514)の作。

ヴィスコンティ家の一番美しい回廊から、という説明ですが、ヴィスコンティの
どのヴィッラか、はたまた城なのか、ちょっと調べましたが判明せず。
が、ブラマンテは最初は画家を志しマンテーニャに師事したというので、納得。
こちらは有名な作品の様で、ギリシャ古代の哲学者2人で、左の泣いているのが、
涙が頬に落ちているのがヘラクレイトス、紀元前6~5世紀の方、
涙が頬に落ちているのがヘラクレイトス、紀元前6~5世紀の方、
一方右の笑っているのがデモクリトス、紀元前4~3世紀で、2人は人類の運命について
それぞれ泣き、笑っていると。

2人の間にある最新のヨーロッパ地図というか、ちょっと見に地球儀にも見えますが、
良~くご覧下さいね。 15世紀に既にこれほどの精密なヨーロッパ大陸についての
良~くご覧下さいね。 15世紀に既にこれほどの精密なヨーロッパ大陸についての
知識があったのにも驚きですが、アルプスの頂には白い雪が見え、最新の
スカンジナヴィア迄描かれ、この地図が描かれたフレスコ画により、
ブラマンテは地図製作者としても評判を取ったそう。
この絵は好きで撮ったのではなく、失礼、ミラノ公のイル・モーロについて調べると
見かける絵なので、ああ、ここにあったのかと。
名前不詳の画家ですが、ルドヴィーコ・イル・モーロが公爵になった後に注文して
描かせた絵の様で、
描かせた絵の様で、


玉座の聖母子の前に、イル・モーロと右に妻のベアトリーチェ・Beatrice、
フェッラーラのエステ家出身で、イザベッラ・デステの妹、がおり、その前に
彼らの2人の子供が膝まずき、子供のキリストがイル・モーロに祝福を与え、
彼の肩に手をかけているのが、ミラノの守護聖人サンタンブロージョ。
たくさんの金を使い、彼の威勢を示す、現在でいうと所謂、公式ファミリー・フォト、
という所でしょうか。
絵としては余り上等の出来ではなく、レオナルド式にも、ブラマンテ式にも新規を
打ち出そうとしたのだろうが成功していない、という説明もありました。
打ち出そうとしたのだろうが成功していない、という説明もありました。
これは素晴らしいと思った絵で、画家はジョヴァンニ・アントーニオ、
またはボルトゥラッフィオ・Boltraffio(1467-1516) 作品名はジローラモ・カシオ・
Gilolamo Casio(1464-1533)という名の、冒険家、詩人で知られた人物の肖像。

ボルトゥラッフォが1500年にボローニャで描いた祭壇画が大変に評判をとったそうで、
ペルジーノとヴェネツィア絵画の影響を受け、色も澄み垢抜けしたこの無名の若者の
肖像は、指輪と紙片を加えられ、上記の詩人の家の礼拝堂の祭壇画に加えられた
絵なのだそう! こういう絵の由来も興味深くて楽しいですね。
ペルジーノとヴェネツィア絵画の影響を受け、色も澄み垢抜けしたこの無名の若者の
肖像は、指輪と紙片を加えられ、上記の詩人の家の礼拝堂の祭壇画に加えられた
絵なのだそう! こういう絵の由来も興味深くて楽しいですね。
この額も素敵ですねぇ!
昔はこんな額に収まるような絵を描きたいものと・・、へへ。
こちらは仕切られてはいるものの、公開の修復場で、この時は何方も居られませんでしたが、

こんな風に大画面で、様々なタイプの写真で細部を撮るとこういう風に見える、
という様な説明が写っておりました。 最新の技術を使っての修復の様で、
今写っているのは上の写真に見える、ロレンツォ・ロットの手袋を持った男の肖像。
今写っているのは上の写真に見える、ロレンツォ・ロットの手袋を持った男の肖像。

フランチェスコ・デル・コッサ・Fancesco del Cossa(1436-1477,78)の
「サン・ピエトロ、左と、サン・ジョヴァンニ・バッティスタ 右」
この2枚はボローニャのサン・ペトローニア大聖堂のフロリアーノ・グリッフォーニ家の
「サン・ピエトロ、左と、サン・ジョヴァンニ・バッティスタ 右」
この2枚はボローニャのサン・ペトローニア大聖堂のフロリアーノ・グリッフォーニ家の
礼拝堂の祭壇画の一部をなすものだったそう。

で、shinkaiが見つめたのはこのサン・ジョヴァンニ・バッティスタの足元の、
この不思議な岩窟都市というか、見事にシュールな幻想というか、

撮って来た絵の前の評を写真整理をして読みましたが、手に持つ細い棒の一番下に
黒いのがちらっと見えますね。 実はこれは黒い大きめのトカゲで、
評には、トカゲも驚いて見ている、とあって、笑いましたぁ。
黒いのがちらっと見えますね。 実はこれは黒い大きめのトカゲで、
評には、トカゲも驚いて見ている、とあって、笑いましたぁ。
ジョヴァンニ・アンジェロ・ダントーニオ・ダ・ボローニャ・Giovanni Angelo
d'Antonio da Bologna(1443-1476)の、「聖母子と聖人、天使」
ウンブリアはグアルド・タディーノの教会祭壇画。
ウンブリアはグアルド・タディーノの教会祭壇画。


これは上下ともで大変大きな祭壇画になっているのですが、これは別年に描かれた
同画家の絵を集め、上下に1900年代に配置したものなんだそう!
同画家の絵を集め、上下に1900年代に配置したものなんだそう!
画家が描いたのは1462~1465なのでそう年代が離れたものではなく、
優しい雰囲気の絵ですが、良くご覧下さいね。
下の段の絵は全身が入っているのに対し、上の段の聖人たちは腰の下までで、
光の当たり方も下は右からで、上は左からですね。
まぁ画家本人は既に何世紀前に亡くなっているので、抗議もなく無茶な寄せ集めも
出来たわけですが、教会というものは時に無茶苦茶ですねぇ、ははは。
出来たわけですが、教会というものは時に無茶苦茶ですねぇ、ははは。
さてここからshinkaiが大好きなカルロ・クリヴェッリの作品をいくつかご覧頂きますね。
ブレラに行こうと話が決まった時、ああ、クリヴェッリに再会できると喜んだのでしたが、
ここにある数点は本当に素晴らしい作品なのですよ。
まず「聖母子と聖人」。1482年作のこれは、「カメリーノのサン・ドメニコの祭壇画・
Polittico di San Domenico di Camerino」と呼ばれるもので、
板にテンペラ、金
Polittico di San Domenico di Camerino」と呼ばれるもので、
板にテンペラ、金

一番左手前におられるのはカメリーノ、マルケ州のマチェラーラ県に位置する
カメリーノの町の守護聖人の聖ヴェナンツィオ・S.Venanzioで、その背後の
カメリーノの町の守護聖人の聖ヴェナンツィオ・S.Venanzioで、その背後の
白黒の僧衣で百合を持っているのがサン・ドメニコ、右の奥に頭に鉈を乗せているのが
殉教者ピエトロで、手前の若者は盆にカメリーノの町を乗せ、聖母に捧げている所。
聖ヴェネンツィオの手に提げている鍵などは描かれたものではなく、現実味を増す為の
具体的な物体で、聖ピエトロの頭の鉈も、聖母の胸のガウンを止めている宝石も。
具体的な物体で、聖ピエトロの頭の鉈も、聖母の胸のガウンを止めている宝石も。
巧緻で、素晴らしく美しい聖母と、手に小鳥を持つ子供のキリスト。 何の鳥か
調べると、多分リゴゴーロ・rigogolo・キガラシコウライウグイスで、
未来のキリストの受難のシンボルと。


カルロ・クリヴェッリ・Carlo Crivelli(1430-1495) ヴェネツィア生まれですが、
他人の妻との姦通罪で国を追われ、マルケ州でたくさん仕事をし亡くなっていて、
他人の妻との姦通罪で国を追われ、マルケ州でたくさん仕事をし亡くなっていて、
上の「カメリーノのサン・ドメニコの祭壇画」はですから52歳の時の作品で、
ずんずん巧緻な仕事に打ち込み、煌びやかな衣装、装飾になっているのが良く分かります。
ずんずん巧緻な仕事に打ち込み、煌びやかな衣装、装飾になっているのが良く分かります。
こちらは同じく「カメリーノのドゥオーモの祭壇画・Polittico del Duomo di Camerino」
と呼ばれるもので、1490年作 板に油彩、金 340x442/474cm
と呼ばれるもので、1490年作 板に油彩、金 340x442/474cm

左に描かれている聖人は、サン・ピエトロとサン・パオロで、半分程破損しているのは
地震の為だそうで、右側の聖人はサンタンソヴィーノ・Sant'Ansovinoと
サン・ジローラモ(ヒエロニムス)
地震の為だそうで、右側の聖人はサンタンソヴィーノ・Sant'Ansovinoと
サン・ジローラモ(ヒエロニムス)
中央の聖母子像の部分は、「ローソクの聖母・Madonna della Candeletta」とも
呼ばれるそうで、玉座の手前にローソクが立てかけられている所からと。
呼ばれるそうで、玉座の手前にローソクが立てかけられている所からと。
聖母は周囲を果物付きの枝が絡まる玉座に座り、子のキリストは梨を手にし、これは
救世主のやさしさのシンボルだそうで、見事な筆致の装飾性豊かな画面。
聖母の衣服の赤はとてもシックで、ガウンはビロードの手触りが感じられる様な
柔らかな如何にも高価そうで、当時大変に貴重高価な布地だったそう。

そしてこの玉座前に置かれた壺の花と、下にはバラの花とサクランボ。
この百合の花は原産がバルカンかアジアの産だそうで、純粋さと清純なマリアの
シンボルとなったもの。


かって古代エジプトではこの百合の花を押しつぶし香料をとったそうですが
現在は既に途絶え、一方フランスでは1970年代まで少量産出していたそうで、
香りはほんの少しでも素晴らしく強かった様子。水仙の香りに似ていていると。
現在は既に途絶え、一方フランスでは1970年代まで少量産出していたそうで、
香りはほんの少しでも素晴らしく強かった様子。水仙の香りに似ていていると。
この布は聖母の左の袖に使われたビロードの柄の布地で、15世紀の末にあって流行りで、
クリヴェッリは店の見本を取っておいたのだそう。
クリヴェッリは店の見本を取っておいたのだそう。

「磔刑図」 聖母マリーアとジョヴァンニ2人のみが従っており、脚元には荒廃した
土地が示され、空はまるで抽象画の様に金色で塗られており、
空にはまだ明るさがあるものの月が一日の終わりをつげる、聖書に語られる様に。


最後にもう一枚、クリヴェッリの絵を。 下が「聖母の戴冠」で、上が「ピエタ」。
これは彼の最後の作品で1493年の物。 板にテンペラ、金 194,3x93,3cm



全体に大変に装飾性が強く、少し硬い印象もあり、描けるだけの力を籠め描き上げた、
という感じの、63歳になったクリヴェッリの真骨頂の作品なのでしょう。
という感じの、63歳になったクリヴェッリの真骨頂の作品なのでしょう。
具材に、板にテンペラ、油彩+金、とある様に、金が本当に豊富に使われており、
こういった材量は注文主とどの程度使うかを相談し、それで絵の値段を決めたので、
きっと注文主も裕福だったに違いないと!
きっと注文主も裕福だったに違いないと!
この絵は元々紙の製造で有名なファブリアーノのサン・フランチェスコ教会に
あったそうですが、町がきっと栄えていたのでしょうね。
金糸を折り込んだ布の表現ですが、こんな金色のタッチが見え、少し離れると
余り見えないものの、動いて光の当たり具合できらきらとほのかに光り、
きっと教会の暗さの中でも煌きを放ったことでしょう。
余り見えないものの、動いて光の当たり具合できらきらとほのかに光り、
きっと教会の暗さの中でも煌きを放ったことでしょう。

こちらは上の「ピエタ」で、左の本の隣のロウソクの火が、風に揺らいで消えそう。

それぞれのたくさんのシンボル的な物も織り込み、華麗な一幅の絵をしあげた
カルロ・クリヴェッリ。
カルロ・クリヴェッリ。
マルケ州のアスコリ・ピチェーノの教会の祭壇画も美しかったですが、周囲の
小さな町村のあちこちに彼の作品が点在している様子です。
いつか訪問して見たいものですね。
こちらはジェンティーレ・ダ・ファブリアーノ・Gentile da Fabriano(1370-1427)
の祭壇画作品で、中央に「聖母マリーアの戴冠」があり、周囲を聖人が囲むもので、
上の段は聖人の殉教やお告げを聴く、聖痕を受ける場面が。

この祭壇画はマルケ州のヴァッレ・ロミータ・Valle Romitaの小さなフランチェスコ派の
隠遁所にあったもので、「ポリッティコ・ディ・ヴァッレ・ロミータ・Polittico di Valle
Romita」と呼ばれ、1410年から12年にかけての作品
板にテンペラ、金 290x250cm
キリストとマリーアの周囲は天国で、星空の上にまるで地上の床の様に音楽隊の
天使達が座って音楽を奏で、


聖人たちの足元は、なんとも素晴らしい可愛い花で覆われています。

という所で、突然に現代絵画に代わりますが、 これはモランディ。

額の周囲に金網が見えますが、こんな風に幅の狭いガラスかアクリルで全体が覆われた
陳列棚が引き出され、所々に展示されているのですね。
陳列棚が引き出され、所々に展示されているのですね。
ピカソ、2点


上の白とグレー、黒で線、の絵が素敵でしたねぇ。
ブラック、

多分奥に見えるこの陳列棚すべてに、たくさんの展示されていない現代絵画が収まっていて、

左上に「Aspettando Palazzo Citterio・パラッツォ・チッテーリオを待ちながら」
とあるので調べて見ましたら、ブレラ絵画館がある同じ道、ブレラ通り21番に、
ブレラ絵画館から南に1kmにも満たないと思われる場所に、
このパラッツォ・チッテーリオがあり、どうやらそちらにこういった現代絵画が移され、
第2のブレラとなるのか、一大ブレラとなるのか、
来年2020年の夏に一般公開の予定が進んでいる様子!
来年2020年の夏に一般公開の予定が進んでいる様子!
という事で、現代絵画がお好きな皆さん、もう少しお待ちくださいね!!
という所で今回もお終いで、もう一度ブレラ絵画館訪問を続けさせて頂きま~す。
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◆ 新開志保展のお知らせ ◆
10月29日(火)~11月4日(月)迄 広島三越 7階画廊にて
新開志保展を開催させて頂きます。
新開志保展を開催させて頂きます。
今回もまたこちらイタリアの風景を主に、猫ちゃん、植物、静物など、
新作21点を含め約30点余の展示となります。
新作21点を含め約30点余の展示となります。
どうぞお出かけ下さり、ご高覧賜ります様、お願い申し上げます。
私は毎日会場におりますので、秋の素晴らしい広島で、
また皆様とお会い出来るのを楽しみにしております。
また皆様とお会い出来るのを楽しみにしております。
ご訪問よろしくお願い致しま~す。
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見たよ! の応援クリックも宜しくお願い致しま~す!
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記事の一番下に「コメントを書く」が出ますので、よろしくお願いいたします。
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非公開コメントをご希望の場合は、非公開で、と書いて頂くと、
コメント承認制ですので、保留にし、お返事だけ公開しますので、
それもご了承下さいませ。
コメント承認制ですので、保留にし、お返事だけ公開しますので、
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この記事へのコメント
ミ~タ
昨日、個展の案内ハガキが届きました。
11月3日の昼頃にお邪魔できると思います。
お会いできるのを楽しみにしています。
私は明日の深夜からチェコにお出かけです(現地2泊3日)。
台風19号の被害が大きく、こんな時期に旅行は少々気が引けるのですが、
被災地には募金を送ることにします。
shinkai
ああ、良かった、DMのご案内が届きましたか。 はぁい、では3日に広島で楽しみにお待ちしてま~す!
宴会部長は2日の夜の部を既に設置してくれているのですが、3日も勿論で、同じ店でも良さそうなので二木さんとも相談してみますね。
明日から、なんと2泊3日でチェコ! これは楽しそうです、お土産話を楽しみにしてます。
こちらはお天気の日中はかなり暖かいですが、朝夕はもうすっかり冷え込みますから、着る物もそのおつもりで。
楽しんで来て下さいね、その為に毎日一生懸命働いておられるのですもの。
で、しっかり帰って来てくださいねぇ!
YUN
こちらにもDMが届きました。ありがとうございます。あの靴の絵がインパクトありますね~。重厚な感じ。あ~、観にいけたらな~。
ブレラ絵画館は懐かしいです。
でも記憶があやふやで? エゴン・シーレを観たような。
企画展だったのでしょうかね。
また新しくオープンする絵画館があるのですか。それも興味深いです。
お体に気をつけて、個展と帰国のご準備をなさってくださいね!
shinkai
DM届いたそうで、良かったです。 靴の絵はねぇ、ああいうのを描こうとは思った事も無かったですが、モチーフとの出会いというのは不思議ですねぇ。
描き出したら迷うことなく、す~っと進めたのでした。 有難うございます!
ブレラなんて、懐かしいでしょう?! 日本から旅行で来た時に2回寄ったのですが、旅行の日程の一部という感じで見ていたので、見た記憶はあってもやはり絵自体の細かい事までは見ていなかった気がします。
なので落ち着いて今回は見れましたよ。 ただね、絵の数が膨大なので、最後はやはり疲れました。
エゴン・シ-レ、見たっけ? とちょっと検索しましたが、出なかったですよ、思い出の中の勘違いかも。
新しい絵画館は現代美術の様なので、それも興味深そうですよね。
はぁい、明日早朝に出かけます。 またお会いできるチャンスがあると良いですね。