・n.2 カステッロ・ディ・ドンナフガータ・逃げた女の城 ・ シチーリア、ラグーザ

先回に続きシチーリアはラグーザ・Ragusaにあるドンナ・フガータの城
何とも素敵な地名「ドンナ・フガータ・逃げた女」という、オリージネは古い物の、
19世紀にシチーリアの貴族、上院議員が買い取り拡張、
見事に貴族趣味の改修を加えた城のご案内を。

先回は「ドンナ・フガータ」という名の由来や、shinkaiはその名から、
同じく貴族のジュゼッペ・トマージ・ランペドゥーサが著した「山猫」に
登場の避暑地の地名かと思い調べた、という事からご案内したのでしたが、

今回は修復を経て公開されている現在の城のご案内の続きと、
広大な庭園の様子をご覧頂きます。 では、どうぞ!

こちらは「ドンナ・フガータ・逃げた女」の伝説となったという、
「ビアンカ・ナヴァッラ女王の部屋」と呼ばれる部屋!

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白の大理石に、先回ご紹介した「シチーリアの黒」と呼ばれる
ピエトラ・ぺーチェの床模様が素敵ですが、
部屋の名の由来は、伝説からの観光客向けのお誘いの様で、はは。


お客用の部屋も勿論たくさんあるそうですが、特別に華美装飾ではなく、
それぞれの部屋との連絡も勿論あるものの、直接に抜け道を通っての
召使との連絡が出来る様になっているそうで!

召使部屋との連絡は、部屋にある帯・紐を引くと召使部屋のベルが鳴り、
そのベルからどの部屋でのお呼びかが分かるようになっているのは、
映画でも皆さん良くご存知と思いますが、
即呼ばれた部屋に行く召使の為の裏階段、抜け道などが城や貴人の邸宅には
しっかり造られていた、という事なんですね。



で、お客人の為の部屋はすべて同格か、というとそうではなく、はい、

こちらは「司教の部屋・Stanza del Vescovo」で、寝室のみではなく、いわゆる
アッパルタメント、ホテルのスィートという広い造りで、

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壁紙は手描きの「刺繍のレース」で、部屋に合う様に、つまり見た目には本物で
あるかの様に描かれているそう。

部屋にあるドアの2つの1つは個人の部屋に、そしてもう1つは司祭の賄い女の部屋に。
はい、「司祭の賄い女・ペルペートゥア・perpetua」という言葉があるのを今回知り、 
司祭様はちゃんとお付き女と一緒に、お出ましだったのですねぇ!

こうしたたくさんの部屋には城の元の姿、男爵が買い取り改修する以前の姿を描いた
作品が飾られているそうで、勿論その意図するところは明確ですね。



一番大きな素晴らしい部屋は、「紋章の間・Sala degli Stemmi」で、

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ここに見える紋章は、シチーリア全体の貴族の紋章なんだそう。



紋章の間からドアを抜けると、「図書室控えの間」があり、そして「図書室」に。

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男爵の蔵書6000冊以上が収められ、近年一般公開も。



ベルサイユ宮殿の「鏡の間」の広さには及ばない物の、素晴らしい「鏡の間」とか、

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「青の間」、「赤の間」、「ビリヤードの部屋」等々。
 
「ビリヤードの部屋」には勿論中央にビリヤード台があり、周囲の壁には海辺の海岸の
東屋らしき物が描かれ、高くなった椅子が設えられ、つまり客人たちはビリヤード競技を
高い位置から眺められるようになっているそうで。

上流階級の社交場として集まる様々たくさんの客人を楽しませるためのアイディアも
備えている城、男爵の居城という事になりますね。



部屋数は先回ご案内の様に全部で120室ほどあるうちの、現在は20室ほどが
公開されているそうで、内部見学の後は庭園の散策に。

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庭園図をもう一度どうぞ。

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植え込み装飾は、当時の図面に従い再建されたそうですが、この図柄を描くのは
ローズマリーノと、ラヴェンダなんですと。 散策すると香りが漂い、素敵でしょうね。

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城内の見学が済むと、この緩やかな広い階段を降りますが、階段両脇の上には
スフィンクスの像があり、下にはこのライオン像が。

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この素晴らしく大きな樹はインド・ゴムの樹だそうで!

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ランペドゥーサの「山猫」には、シチーリアの強烈な太陽の下で大樹となり、
庭園の薔薇の花も何もかも、濃厚に香る様子が描かれていたのを思い出します。



庭園全体の広さは約2ヘクタールあり、所々に日陰を選んで
こんな石のベンチが設けられており、散策が楽しめる様に。

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こちらはコーヒー・ハウスで、手前には小さな天使のいる泉もあり、

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丘の上には東屋・ガゼボ・gazeboや、人工の洞窟があったり、男爵の遊び心を
反映し、機械仕掛けのマネキン人形が散策の人を驚かせたり、
偽のお墓にはやはり死人のマネキンが隠れていたり、椅子に座ったりすると
水が降りかかる、という様な仕掛けもあるそうで、ははは。



こちらは先回ご案内の「イタリアのラビリント・迷宮」ご案内の最後にも登場した
石造りの迷宮で、入口の小さな橋を渡って入る様に。

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こうして見ると、石の壁造りの様で素っ気なく見えますが、かっては薔薇園で
覆われていた様で、そうなるときっともっと迷宮を抜けるのが難しかったろうと。



庭園側からの城の眺め。

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この城は現在ラグーザ市の持ち物で、男爵の子孫はどうなったのかと調べましたら、

コッラード・アレッツォ男爵・Corrado Arezzo de Spuches di Donnafugata
(1824-1895)と、妻コンチェッタ・アレッツォ・ディ・トゥリフィレッティ・
Concetta Arezzo di Trifilettiは、1人娘ヴィチェンツィーナ・
Vicenzinaを得ますが、

彼女は16歳でジュゼッペ・アルヴァーロ公爵、(余りにも敬称が長く、大幅に省略)
と結婚したものの上手く行かず、鬱状態そして健康を害し、パリで1888年に没。

公爵との間に2人の娘を設け、上のクレメンティーナ・Clementinaが母親の
称号と領土、父親の称号も受けますが、男子の継承者を残さずに亡くなり、
公爵側の王女と男爵夫人が継承し、1982年にこの城を10億リーラで
ラグーザ市に売り払ったのだそうで。

栄枯衰勢は世の習い、とはいうものの、はぁ、なんとも・・。



入口、午後遅めの日を浴びる正面の様子をもう一度どうぞ。

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shinkaiは未だシチーリアに行った事が無く、いつか行けるチャンスがあれば
見たい城で、そして「山猫」の筆者ランペドゥーサの育った地も訪問したいものと、
今回あれこれ調べ、改めて興味を持った事でした。
行けると良いなぁ!!


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この記事へのコメント

  • YUN

    ご無沙汰してます!
    お元気そうで良かったです~。
    少しずつ新型コロナも落ち着いてきて・・・もちろんまだまだ油断はできませんが、日常も戻りつつありますね。
    こちらも歯医者に行かなくてはならなくて、ビビりながら臨みましたが、意外と普通に治療してくれて拍子抜け。患者よりお医者さんの方が感染防止で大変かと。
    ドンナ・フガータが地名でまたいろいろ興味をお持ちになる様子、shinkaiさんだな~って思いますよ。
    こういうお屋敷は興味が尽きませんね。紋章がずらり・・・すごいな。
    図書室もワクワクしますし、鏡の間は当時を想像させられます。
    迷宮はよく映画なんかで見ますね。
    「山猫」、何年か前にTV放映があり再見しました。画像がクリアになり、また一層美しい~。いつかその舞台にお出かけくださいね。
    2020年06月08日 02:55
  • shinkai

    ★YUNさん、こんにちは! コメント有難うございます。

    あ、歯医者に行かれましたか? そう、行く前はどんな様子かと少し心配ですよね。 でも行って見ると、意外に特別でない様子で、そうなんですよね、私も眼科のクリニックにお世話になっているので、あの感じが良く分かります。 
    歯の方は如何ですか? 歯の問題は、薬を飲んで治まる、というのではないので大変です。 お大事に。

    はい、ドンナフガータ、という地名に引かれて、あっちこっちと読み漁りましたが、しっかり頭の中に納まったので、はは、良かったです。

    それにしても、お金持ちの貴族、の尺度が大きすぎて戸惑いますね。 本の中で読む、知る世界がやはりほんとうにあるのだなぁ、と、ははは。

    あ、映画「山猫」をご覧になりましたか、華麗でもあり、貴族社会が崩壊していく時代だったのですね。 監督のヴィスコンティも貴族の一族でしたから、彼の描く映画背景はやはり違うそうで、見事でしたねぇ。

    はい、今回知った事で、尚の事、あれこれシチーリアに惹かれますが、少し遠いですねぇ、へへ。
     
    2020年06月08日 15:24