・ ローマ期の住宅跡のモザイク発掘 ・ ヴァルポリチェッラ、ヴェローナ

この春届いた日本の友人からのメールに、ヴァローナのヴァルポリチェッラの
地下からローマ期の住宅跡のモザイクが発掘されたよ、とあり、
写真も添付されていたのですけど開かず。

コロナヴィールスの影響がまだまだ大きい時で、ついそのままになっていたのが、
先日改めて思い出しサイトをあれこれ調べ、たくさんの記事を見つけました。

モザイクの写真も何枚か見つけたのですが、発掘のあったコムーネ、
ネグラール・Negrarが一括管轄し、発掘地もその後再度埋められた様で、
同じものしか見つかりませんでしたが、

今迄の発掘経過や、赤ワインで有名なヴァルポリチェッラ・Valpolicellaの
ローマ期からの発展経過などもあれこれ興味深いのでご案内致しますね。

ヴェローナから北西に10km程、車で約30分の位置にあるネグラールで、

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こちらがかの有名なヴァルポリチェッラ・valpolicellaのワイン生産地と
ワインの種類の地図で、上の地図と比べて見て下さいね。
見事にヴェローナの北の丘陵地に添って東西に広がるのが分かり、

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一口にヴァルポリチェッラと言っても、こんな感じの丘陵地もあり、

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緩やかに広がる平地もある様で。

4-Vigneti in Valpolicella, Recioto produzione e caratteristiche organolettiche.jpg



さて今回ローマ期の住宅跡、部屋のモザイクが見つかったという
ネグラールですが、 町の教会のある中心地、

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モザイクが発掘されたのは葡萄畑の中。

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実はこのローマ期の住宅跡が、というのは、既に100年前の1920年代に
知られており、1922年、そして1975年にも引き続き発掘作業が行われたものの
結果が芳しくなく、イタリアの常の例で資金不足でそのままになり。

で、2019年の夏に幾つかの場所でコア・ボーリング・岩石標本採取が行われ、
地下何メートルにモザイクの施された床がある、というのが分かったのだそう。
それ以前に使われた地中レーダはまるで役に立たなかった、とか。

で今年次の段階に進む、という所でコロナヴィールス禍で中断、5月に再開で、
幾何学連続模様のモザイク、青と赤、そして白の鮮やかな床模様、
大変に保存状態が良いのが発掘された、という事だそう。

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写真でご覧の様に塹壕というか溝状に、かなり今迄の地道な発掘研究で
確実に確信が持てた土地を、

つまり高価なワインを産する葡萄畑の中なので、どこでも掘れるという訳でなく、
そのあたり研究者、発掘者も大変だったでしょうが、
この下には確実に、という場所、葡萄の畝の間を溝状に掘った様子ですね。

深さは1~2m位でしょうか、写真で見てもあまり深くないですね、
本当に見事に幾何学模様が残っており、色も鮮やかで素晴らしいもの!


こういった柄から、研究者たちにはこれが紀元後3世紀のローマ人の住宅で、
全体の構造、広さも推定できるそうで、

これから市を始め、文化財保護省、考古学者達、そして土地の持ち主を
含め、住宅全体の発掘、そして今後の博物館、一般公開、観光推進に向け、
様々な検討があり、資金調達も勿論ですが、はは、

前向き状態での折衝を経て全体発掘となる様ですが、時間はかかりそうと!
まぁ、これはイタリアの常で、皆さん慣れておられるし、待つ方もね、ははは。


それにしても葡萄の木というのは、そんなに深く根を張らないものなんですね。
木の根が深ければ、こんなに見事に残ってはいなかったでしょうしね。

こんな事からも、以前我が家から近い丘陵地の大雨被害で川が溢れ、
何人もの死者が出た時、周囲全体が葡萄畑で、土が留まらないんだ、
という非難意見が多く出たのを思い出したりでした。



この「ヴァルポリチェッラのワイン」と言うと、既にローマ人に
“Vinum bonum laetificat cor hominis”
良いワインは人々の心を喜ばせる、と言われ、

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12-scriani-valpolicella-uva-vigneto.jpg

ガルダ湖周辺一帯の温暖良好な気候も好まれ、クラウディア・アウグスタ街道
も通り、ローナ人の入植があり、たくさんのヴィッラや寺院跡も残ります。



ちらっと読んだネグラールのカンティーナ・醸造所のサイト記事では、
58000平米の葡萄畑、220の参加農家、10000000Lのワイン、
1時間に最高6000本の瓶詰め、
年に産する平均6000000kgの葡萄から、800万本以上のワイン製造、
なんぞと数字が飛び出し!

この記事の数字には、個別に醸造、瓶詰めをする大手が含まれるのか
どうか、その辺りはshinkaiの手に負えませんが、
このネグラール以外にもたくさんのコムーネがヴァルポリチェッラにある訳で、
天文学的な数字になるのだろうと思われます。

今はどこの醸造所も多角経営で、単にワイン醸造所でな無くなっていますし、
この地域の持つ経済効果は物凄いのだろうなと。



所で上に出たクラウディア・アウグスト街道・Via Claudia Augustoは
紀元前15年に建設が始まり、ヴェネツィア東に位置する現アルティーノ・Altino、
今のヴェネツィアの前身の町があった事でも知られますが、
とヴェローナの南、ポー河に面した現オスティーリア・Ostigliaの2か所を起点とし、

東からはフェルトゥレを通り、南からはヴェローナを通り、現トレントで合流。 
そしてボルツァーノを通りアルプスを越え、現フュッセンやアウグスブルグを通り、
ドナウ河に面したドナウヴェルト付近まで連絡した街道と。

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いつもイタリアのみならず、ヨーロッパの北の端にまで届くローマ期の街道に
ついて読むと、2000年以上前に、舗装した軍需用街道を造った、という
ローマ人になんとも感嘆するのみですが、



これは東のアルティーノからの街道が、フェルトゥレを過ぎラモン・Lamon、
ここはインゲン豆で有名な所で、はは、息子の夏の家に行く時に通り、
いや、この道ではないですが、

これはラモンに残るクラウディア・アウグスタ街道のローマ期の橋なのですと。

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「ローマ期の橋」として残っているのはあちこちにあり、我がコネリアーノの
西に出た所にもある、と友人のジュリアーナから聞いているのですが。



で、ヴェローナを経て、この街道はちょうどネグラールのコムーネ、地図に記した
トンマージ・Tommasiのカンティーナのすぐ傍を通っていたのだそう。

15-tommasi Cattura.jpg

元々ここに街道脇の見張り塔があり、その後修道院になっていたのが、
カンティーナとなり、今このトンマージとなっているそうで、歴史の変遷は全くね!



で、イモずる式にあれこれ読んでいる内に見つけたのが、
「クラウディア・アウグスタ街道にようこそ!」というサイト!!

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サイクリング愛用者に、車で旅を、という方々に、計画の立て方、宿などの
情報提供サイトで、なんとまぁ、と驚き喜んだshinkaiです。

クラウディオ、アウグスト皇帝も地下で、ほら、みろぉ!とお喜びの事と、ははは。



とか、敷地内に湧き水のあるヴィッラ・モスコーニ・ベルターニ・Villa Mosconi-
Bertani、このヴィッラはネグラールではなく、ヴァルポリチェッラの東にある、
17世紀のヴィッラがカンティーナになっている素晴らしいものですが、

17-px-Villa_Mosconi_Bertani_2013.jpg

ここの湧き水がヴェローナに水道橋を使い運ばれていた事が、1888年、
ヴェローナからガルダに向けての鉄道建設の時の発掘で分かったそうで、
ヴェローナの現在のガリバルディ橋の所まで行っていたとか。

このカンティーナのサイトは一見の価値ありですので、是非どうぞ。
クリックし開くと、直に勝手にヴィデオが始まり、勝手に消せません! はは。


という様な、あれこれたくさんのローマの遺産が残っている事を改めて知り、
驚いた今回でしたが、

何年か先、葡萄畑の中の紀元後3世紀の屋敷のモザイクが公開され、
周囲の美しい風景を愛でつつ美味しいワインも、となる日をお楽しみに!


マルケ州で偶然見学出来た、ローマ期の発掘された家
ドムス・デル・ミート ・ サンタンジェロ・イン・ヴァード
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/470813954.html



もう少しすると、葡萄畑の色はこんな色になり、

18-Vigneti_a_Negrar_in_autunno1.jpg



そしてその後こんな風に赤茶の葉の色となり、冬に向かいます。

19-vigneti_4.jpg

この夏はヴェローナ周辺に自然災害が多かったので、葡萄にも被害が大きく
及んでいない様に願っています。


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