今回ご案内のテルモポーリオ・Termopolio、日本語的に言うと
サーモポリーですか、つまりそこで煮炊きした料理や飲み物が食べられ、
お持ち帰りも出来る、という現在のスナック喫茶、ターボラ・カルダでしょうか。
藤沢周平さんの時代小説の中にも出てくる「煮炊き屋」に似た性質の、
約2000年前のポンペイの店が2019年に発掘発見され、
その当時は片側に見えたフレスコ画の素晴らしさから、住居跡かと思い、
また半面を発掘した所でその驚異的にも完全な形で残っている姿に、
一躍皆が励まされ、このコロナ禍の下でも一日も休まずの発掘が続き、
いよいよその成果がぼちぼちと発表されている様子で、
今日はそんな様子をご覧いただきますね。
参考にした記事は
ポンペイのテルモポーリオ:完全な形で発見、どこに
ポンペイ:発掘現場からテルモポーリオ再浮上 食物はまだそのまま
ポンペイ。レージョ5の並外れた新発見:当時のターボラ・カルダ・テルモポーリオがそのまま
発掘中の遺跡の前で、総監督のマッシモ・オザンナ教授が説明の
所で今発掘が続いているポンペイの「レージョ5・regio5」の場所は、
地図をどうぞ。
全体図の中で中央上(北)になり、通りもまだついておらずの未発掘部の
様子ですが、2,5km以上の古い城壁内の、22ヘクタールに及ぶ広さ。
1748年3月23日にポンペイ遺跡が見つかっての270年目を記念し、
2018年からかな、発掘が行われているのが、このレージョ5なのだそうで、
ここから続々と新発掘が続き、皆大喜び、という様子!
この新しい発掘現場からの新発見については、
今迄も不審があった ポンペイ・ヴェスヴィオ山の噴火日が訂正
ポンペイ遺跡の新発掘の壁画
ポンペイ遺跡についての全体のご案内はこちらから
などご案内していますが、今回は「テルモポーリ完全版」という訳。
当時のポンペイでは、ローマ期でもその様でしたが、一般庶民の家では
火事の危険がある為に煮炊きする台所は無く、
ポンペイで80か所以上あったらしい道端の店、様々な食材を既に調理し、
暖かく食べさせる店で皆が買ったり、食べていた様で、
今回発掘された店は、大理石の美しい噴水のあった広場に面し、
すぐ近くには別のテルモポーリオもあり、そちらには剣闘士達が通っていたと。
そして付近に給水塔、貯水槽もあり、他の建造物もあり、最初の発掘で
カウンターのフレスコ画が見え、その素晴らしさから全体の発掘が決まったと。
つまりこの海馬に乗った女神ネレイスは、前に見える噴水への献呈であり、
脇には植物画も見え、
当時の店の情景も、達者な筆使いで描かれており、
こちら側に調理台の上に乗せられた鳥類、そして素晴らしい雄鶏の絵が。
L字型のカウンターに埋め込まれた甕には様々な料理が入れられており、
これは甕の中に入ったままであった調理を綺麗に発掘し、食べ物が何で
あったかの調査に回されましたが、
ヴィデオには、甕の口まで噴火物が埋まっている様子も写っており、
カウンターの前には、ワインなどの入ったアンフォラがこの様にあったそうで。
そして、カウンターの雄鶏の絵の横には、繋がれた犬の絵があり、
ポンペイの絵で有名な、玄関先のモザイクのワン君の絵には「犬に注意」と
書かれていたのと同じように、ちょっとした客への注意書きかもしれず、と
思った事でしたが、
実はこのワン君の絵を黒く囲った縁の中に落書きが残っており!
見えますか?
“Nicia cineade cacator” とあり、最後のcacatorは逆さまに!
Nicia・ニキアス、というのは、多分この食べ物屋のギリシャ系主人、
多分解放奴隷だったろう、か、使用人の男の名であろうと言い、
cacatorは、つまりcacca・ウンチ、からの言葉で、逆向きとなると・・、
ご想像下さい、の悪口で!
で、真ん中のcineadeが分からず、辞書を引いても出ず。
こうなると尚知りたい好奇心に燃えるshinkaiは、ジュリアーナに電話、
関係記事、ヴィデオのアドレスを書き送り、調べてぇ! おせ~て!と。
暫く後に大喜びのジュリアーナから電話で、ラテン語でcinede、
イタリア語ではcinedoとなる言葉で、
意味は、同性愛者の、受け手側を指す、のだそう!
夜の電話で、大喜びの、きゃはは、いい年した女2人!!
今回のご案内で、一番張り切って調べ、喜んだ場面だったのでしたぁ!
オザンナ教授のヴィデオで、あの手の悪口、とは分かったものの、
靴の上から水虫を掻く様に、肝心の所が分からないのが綺麗に解け、
shinkaiの誕生日に相応しい1日の終わりだったのでしたぁ、ははは。
そしてヴィデオでも見えますが、実はこのテルモポーリオには2人の男性の
遺骨が見つかっており、
1つは店の奥の部屋であったろう所に、50歳そこらの男性が、ベッドか
寝椅子に寝ていて、上階が噴火の瓦礫で落ち下になったろうと思われるのと、
泥棒か、食べ物を盗みに来たのではないかと思われる男の遺骨が
カウンターの奥にあり、食べ物の入った甕の蓋を取っての熱気にやられたのかも、
の可能性も想像できる、とのことですが、
1人の頭骨は、ワイン、オリーヴ油の貯蔵甕・ジャーラ・giaraの中に。
この場所は遺跡が最初に発掘された時、多分当時の大雑把な発掘で
こうなったかも、というような事を教授が話されておりました。
このブログでは写真はパスしますが、
研究心に富む方は、上記3つのリンク先の最後をご覧ください。
と、大変小型な犬の遺骨、成犬も、発掘されたそう。
そして、このテルモポーリオからは、9つのアンフォラ、1つの青銅の盃、
2つのフィアスコ瓶、一般的な陶器の鍋、が見つかったそうですが、
そうそう、甕の中の料理も分かり、子ヤギ肉、カタツムリ、ガルム・魚の内臓
から作ったソース、ソラマメ、ドライフルーツ、他のマメ科で味付けした魚、と。
部屋全体の床はコッチョペースト・cocciopestoと呼ばれる、テッラコッタの
破片でできた防水コーティングの層で覆われており、
幾つかの場所にアラバスター、
ポルタサンタ、
ブレッチャ・ヴェルデ、
バルディーリオ、
などの多色大理石の破片が埋められているそうで、
かなり装飾にもお金をかけている店、というか、当時は皆そうだった?
と、ご案内の様に、素晴らしいフレスコ装飾の店構えと、
店の窯の中の2000年前の食物!
店に来る客たちが何を食べていたかも分かる、という凄い事で、
ダリオ・フランチェスキーに文化遺産大臣も、
「国の回復への、勝利的な例」と褒めたたえたそう。
左がフランチェスキーニ文化遺産大臣、右がオザンナ教授
既にこの完全に復元されたテルモポーリオは、今年2021年8月から
見学者に公開されているそうですので、
次回のチャンスには、皆さんも是非、このレージョ5の区画への再訪問を!
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