・ 絵の中に描かれた眼鏡  中世から17世紀迄の

皆さんは眼鏡をご使用ですか? 近視用? それとも遠視、
ええとつまりお年を召しての眼鏡? 遠近両用で?
それともコンタクト・レンズ? それとも、それともサングラスのみ?

と、眼鏡を使わずでOKの目をお持ちの方を羨ましいshinkaiは、
遠近両用の眼鏡と、PCやお絵描き用の近くを見る眼鏡と
2つを使っておりますが、

近視用眼鏡を使い始めたのが小学校6年になる前、という記憶で、
もう我が人生のほぼ全部を眼鏡のお世話になっていますので、
やはり眼鏡についての記事があるとつい目が行きます。

で、今回興味を持って読んだのが、こちら。
カラヴァッジョを経て、中世から17世紀迄の芸術の中の眼鏡
Gli occhiali nell’arte dal Medioevo al Seicento, passando per Caravaggio

というのも、絵画の中に最初に登場した眼鏡の人物は、知っており、

こちらお隣のトゥレヴィーゾのサン・ニコロ教会隣接の神学校にある
カピートロの間・Sala di Capitoro」 近いのにまだ見学しておらず、

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これはかって毎朝修道僧が集まり、その日の日課についての話があったり、
聖書の1章を読む部屋だったそうで、
古い修道院を訪問するとどこにも、フランスの修道院にも、ありました。

で、その部屋全体のフレスコ画を、1352年にトンマーゾ・ダ・モデナ・
Tommaso da Modenaが描いており、

全部で40人のドメニコ会派の著名な学者、研究者が描かれており
その中の1人、この通称ウーゴ・ダ・プロヴェンツァ・Ugo da Provanzaが
眼鏡をかけた肖像画で登場された最初の人物なのだそう。

サン・ニコロ教会のご案内少し n.3 トゥレヴィーゾ ・ 中世からの運河の街
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/460906156.html

というのは既に知ってはいたものの、詳しく調べてみる事も無く過ぎており、
今回あれこれ読んだサイト記事のひとつ、

描かれた眼鏡。中世
Gli occhiali nei dipinti. Il medioevo

にかなり詳しく、名前もヒューゴ・デ・サン・シェール・Hugues de Saint-Cher、
フランスのサン・シェール、またはサン・カーロで1200年生まれ、

1244年にドメニコ会派人で初めて、イタリアはオスティアの枢機卿に任命。
という事はこれ以前にイタリアに来られていたのでしょう。 で、
1263年にオルヴィエートの教皇宮廷で亡くなった、

という事で、名前もイタリア風に、ウーゴ・ディ・プロヴェンツァが通称と。
と知って後、ああ、そうか、赤い帽子は枢機卿の帽子だったんだ、と。

2-38_Ugo_da_San_Caro_GF.jpg

3-occhiali-ugo-di-provenza_GF.jpg



そしてこの同じ「カピートロの間」描かれたドメニコ会派僧侶で、
もう1人枢機卿の肖像画が収まっており、この方。

フランス人、同じくドメニコ会派の枢機卿ニコラス・ド・フローヴィル
Nicolas de Fréauville(1250 - 1323 )

4-Nicolas-de-Freauville-_GF.jpg


この方は生まれは上のウーゴ・ディ・プロヴェンツァ殿よりも後の世代に
なる方ですが、ほら、眼鏡をつけず、天眼鏡を近づけて本を読まれています。

つまり、やはり当時の眼鏡は、かなりのお値段だったのだろうと!

そしてこの絵は、拡大鏡、天眼鏡、を肖像画で使っている姿の最初
なのですと。


で、この様に1352年にフレスコ画を描いたトンマーゾ・ダ・モデナは、
ドメニコ会派の著名な学者、研究者たちを描くには、

やはり会派の長老達からどの方を描くか、その方はどんな方だったか、と
様々に言い伝えられている、または記録に残る様子を聞いたものと思われ、
かってに想像し、眼鏡をかけさせたり、天眼鏡を持たせたり、はなかったろうと。


となると、眼鏡がいつ頃にどこで発明されたかは、
大体13世紀に登場の可能性が非常に高く、

場所としては、硝子製造技術の絶頂に達していたヴェネツィアであろうと。


眼鏡の発明
L’INVENZIONE DEGLI OCCHIALI
注)このサイトの最初に出てくる絵、天眼鏡を使っている枢機卿の名が、
間違えてウゴーネ・ディ・プロヴェンツァ、となっています。


眼鏡の発明された正確な日付けは特定できませんが、
多分1280年から1300年の間であろうと。

視力を改善する為のレンズの使用を最初に記述したのは、
1262年英国の哲学者ロジャー・ベーコン・Roger Bacon.

5-1-bacone-francescanesimo-scienza_GF.jpg


彼はレンズと鏡を使って実験し、反射と屈折の原理を説明し、
自分の実験の効果を描き始めたのだそうで。

彼は後にクレメンス4世となるギー・フーコー・Gui Foucoi枢機卿と
知り合い、研究を著作にまとめる様勧められ、「大著作」を書き、
次の「小著作」そして「第三著作」を教皇に送った所で
クレメンス4世が死去。

こうして教皇の保護を失った彼は、所属していたフランシスコ会派内で
異端として断罪、投獄。 幽閉は10年に及んだ、という事も読み、


またクレメンス4世、フランス出身は、太っていて「デブ」というあだ名が
あったとか、宗教界に入るまでの前身が大変変わっていて、
俗人→兵士→弁護士→国王ルイ9世の秘書→1256年司教→
ソルボンヌ大司教→英国の教皇使節。

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結婚もしていて2女も生まれ、年代が分からぬものの、妻の没後に
聖職者を目指した、という方で、

亡くなったのが1268年ヴィテルボ、と読み、あれ? と確かめると、

このクレメンス4世没後の教皇選出が揉め、1268年11月から
次のグレゴーリオ10世選出の1271年9月まで、実に3年かかった、
という曰くある教皇様。

n.3 ヴィテルボ ・ コンクラーヴェ(教皇選出)なる言葉の初まり、聖堂
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/471536593.html



という脱線から、ロジャー・ベーコンに戻りまして、へへ、

彼が長い異端疑惑での幽閉から解放された後、

先にクレメンス4世に送った「大著作」での、凸レンズの拡大作用に
付いて説明し、視力に問題のある人にその使用を提案し、

「この用具を使う事により、目の不自由な人も、小さな文字を拡大して
見ることが出来る」と。

ロージャー・ベーコンの「大著作」

5-2-lossy-pageBacon_-_Opus_maius,_GF.jpg



いわゆる凸レンズの使用法は

5-3-zeiss-the-history-of-glasses-_GF.jpg



しかし、レンズが対象物ではなく、目の近くで使用される様になったのは
1280年頃の事。

ヴェネツィア共和国は1284年、ガラスの熟練職人たちが「クリスタル」と
宣言する「ガラス」の販売を禁止する法令遵守を誓わされ、

つまり眼鏡製造秘密を明らかにすることを禁じ、違反は死刑が予見、で
ヴェネツィア、ムラーノ島でのレンズの販売、普及が停止されたのでした。


がドメニコ会派、14世紀トスカーナはピサのサンタ・カテリーナ修道院年代記に、
1313年修道士アレッサンドロ・デッラ・スピーナ・Alessanndoro della Spina
が亡くなった、の報告があり、

「彼は、他の誰かが最初に作成したものの、普及させたくない眼鏡の
発明を作り直し、公表した」人物、

つまり眼鏡製造を再現でき、1300年頃にトスカーナに最初に紹介した
人物である、という事ですね。


この「眼鏡-リベット眼鏡・鋲眼鏡、またはPince-Nez・鼻眼鏡」は
素早くドイツに届き、

1953年に最古の標本がニーダーザクセン州のウィーンハウゼン修道院
Abbazia di Wienhausen の14世紀の聖歌隊席の下から発掘されています。

7-wienhausen-abbey-lower-saxony-germany.jpg



このリベット眼鏡、または鼻眼鏡というのは、このような形で、

8-pince-nez-p8rimo-modello.jpg

2つのいわゆるスプーンというか、スコップ型が真ん中の鋲で連結された形で、
鼻の上部に引っ掛ける、というか、抑える形。

初期は輪は木製だったのが、動物の角や骨も使われるようになったと。

イタリアではこの形の眼鏡がフィレンツェで1982年に、ヴェッキオ宮殿裏の
カステッラーニ通りの井戸の内部深さ8,3mで発見されているそう。

図の下に見えるCopper wire とは銅線の事で、左側に見えるSplit,
割れ目、つまりレンズをはめ込む為の割れ目を銅線で結んでいたものと。

これは絵画の中に良く見えるので、なんだろう?と思っていたshinkaiで、
面倒でも、はは、あれこれ漁っていると、答えが見つかる嬉しさよ!!


で、この眼鏡の古い形がよく分かる絵をどうぞ。

ドイツのローテンベルグ教会の祭壇画「キリストの割礼」 1466年
フリードリヒ・ヘルリン 1536x1140

9-occhiali-circoncisione-Cristo-1536x1140_GF.jpg


これは部分で、絵の上下がもっと長く、足元も見えるのですが、
ストック・フォトになっており引けません。

画題は、こんな小さなキリストに何をする、という感じがするのですがぁ、
本日の主題は「絵に描かれた眼鏡」ですのでご容赦願い、はは、



こんな感じに、鼻眼鏡、鋲眼鏡の作りがよく分かります。

10-occhiali-particolare_GF.jpg

はい、手元が狂わぬよう、しっかり見えるようにして頂きませんとね。


そうなんですね、つまり、初期の眼鏡は、所謂「老眼鏡」だったのですね。
高価ではあったものの、研究者や、学者たちに大いに必要品だったわけで、

創設者から科学に専念するな、と命じられていたにもかかわらず、
偉大な学者連の集まるフランチェスコ会にも採用されたそうで!


そうして徐々に、伝道者、教会の司祭たち、書記、商人、つまり全ての
学者たち、事務系の仕事に携わる男性たちすべてに必要とされ、

通常必要でない時は、ベルトから吊り下げられた木と皮で作られた
ケースに収められ保護されており、

何となく日本の印籠とか、タバコ袋、火種の持ち運びを連想し、はは。

で、こうしてリベット眼鏡、鼻眼鏡はヨーロッパ中に広がりますが、



ミラノ公爵フランチェスコ・スフォルツァ、ビアンカ・マリーア・
ヴィスコンティと結婚し、ヴィスコンティ家を引き継いだ方は、

11-Museo-Cenacolo-Vinciano-Dentro-il-Cenacolo-Milano-Sforza_GF.jpg

1462年にフィレンツェにこの眼鏡を3ダース注文したという事で!!

宮廷中に置くため? 貴族たちに配る為?
 
当時の眼鏡の度の合い方はどんなだったろう?と興味がわきません?


そして後世、新聞、雑誌の刊行が多くなると、それこそ全世界に、
全人類の間に普及し、今ではなくてならぬ物の代名詞となっており、

始めは老眼対策であった眼鏡が、近視用にも開発されたのが
15世紀前半以降なのだそう。



という事で、最初はきっと使いにくかった、締めつけて痛かったろう鋲眼鏡、
鼻眼鏡だった形も改良され、
視力に問題があり、一日中でも使用したい人にも大丈夫な形に改良
された姿の肖像画はこちら、

ロ・スパニョレットの サンティアーゴ騎士団騎士の肖像 1638-40

12-El-Espanoleto-Jose-de-Ribera-A-knight-of-the-Order-of-Santiago_GF.jpg

サンティアーゴ騎士団、という名は初めて知りましたが、貴族の中からの
選抜によるものらしく、きっと有名貴族なのでしょう。



そしてムリーリョ・Murilloの「4人の人物」 1655-60

13-occhiali-murillo_GF.jpg


何をしている所と思われます? 右のお祖母さんのひざ元に横になっている
男の子、孫の、頭のシラミ取り! 
真ん中の少し年の女の子は、頭をシラミに食われた痒みで顔をしかめ!
左のまだ子供の男の子は、いっちょ前に笑っている、
という4人の姿ですが、

横になっている男の子のズボンは擦り切れてお尻が見える程なのに、
お祖母さんの顔にはしっかり、黒縁の眼鏡! 

まぁ、仕事の為にも必要だろう眼鏡ですけど、お金があったんだろうか?
と心配になるshinkai、ははは。

ムリーリョの絵は、大昔見て以来、なんとなしに少し上等な感じ、
と思っていたのが、今回のお祖母さんの顔、取り上げたモチーフに、
少しばかり、えっ、という気持ちがしたのでしたが・・。



で、最後はタイトルに出た「カラヴァッジョ」ですが、彼も絵の中に
眼鏡を、鼻眼鏡をかけた男性を登場させていて、

こちら、サン・マッテオの召命 1599-1600 322x340cm

14-vocazione di san matteo caravaggio_GF.jpg


この画中で、召命されたマッテオはどこに? というので、皆が指さす
マッテオは? というのが論争の的と読みましたが、
左端で小銭の計算に忙しいのがマッテオであろうと。


で、その上に顔をのぞかせている白髪の老人の眼鏡姿、という訳です。

15-vocazione-di-san-matteo_GF.jpg

そしてフレームは、これらの絵画の後の18世紀前半、1727年に
ロンドンの眼鏡技師により発明されるのを待たねばなりませんでした。


そしてそして、サングラスの発明もあり、これもヴェネツィアが発祥の地で、
眼鏡博物館見学の様子はこちらに。

ドージェ(ヴェネツィア共和国総督)のサングラス 
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/473435824.html


最初の眼鏡の発明があった1300年代から700年!
本当にお陰様で、眼鏡の恩恵を受けて、有り難く過ごしておりますです。

眼鏡の発明、進化に携わって下さった方々、感謝で~す!!


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