・ 魔女がビールを作っていた時  ビール作りの起源は?

皆さま、  遅ればせながら

新年明けましておめでとうございます!

本年もどうぞよろしくご愛顧のほど、お願い致しま~す!!


年明け早々、PCのインターネット・セキュリティの期限切れ間近。
古い使っていないメール・アドレスの為オンラインで延長できず、
新しく購入したものの、古いアクセスが邪魔で自分で更新できず、
へへ、アナログ人間、例の如くで!

焦って2日月曜朝から開いている店に電話、持ち込み、
でも綺麗に片付けて頂き、15エウロのお安い料金で無事延長OK。

いつもお願いしている店よりも近く、コネリアーノのジュリアーナの家
のすぐそば、次回からここに?と年明け早々心揺れる・・、ははは。

***

で、今年最初の今回は、
タイトル通り 魔女がビールを作っていた時
Quando le streghe facevano la birra

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皆さんもビールお好きでしょう?!
はい、私めも大好きで、とりわけ夏の暑い時の冷えた一杯は
こたえられませんねぇ!

家の近くの大スーパーに行くと、サッポロの500ccかな、があり、
美味しいのですけど、他のビールに比べ、2倍から3倍のお値段!

で、この頃は少し飲み量が減っており、あれこれ品定めをしていて、
北から来ているヴァイキング・ビールなんぞは13度以上の物もあり!
・・なんぞと遊んでおりますが、

今日の内容は、

かってのイギリスでビール作りをしていた女性達は、
現在我々が「魔女」と聞いてイメージする、猫、箒、先の尖った帽子、
は、ビール作りの世界に起源をもっている可能性があるのですよ、
というお話です。 


魔女=猫、箒、尖がり帽子、暗い色の服、水薬用の大鍋。

で、集合的想像力の一部であるこれらの要素は、こうではなく、

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こうであった可能性も強いですよね?

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つまり実際には、ビールの製造と販売に専念する女性の姿の特徴、
つまりイギリスのエール・ワイフ・alewifes」であった、と。


そして「魔女狩り」は通常、中世に関連つけられていますが、
実際はより多くの魔女裁判が行われたのは近代であり、

主にプロテスタント・カトリックに対しての新教信仰諸国だった、
というのですね。

北ヨーロッパとアメリカの植民地の幾つかのコミュニティでは、
女性の醸造者が醸造物に「水薬」を混ぜていると非難され始め、

おそらくその様な告発の原因は、実際に魔女であるかどうかよりも、
個人的な競争相手を排除する為の簡単な方法だった可能性があり、

告発された人が常に有罪判決を受けるとは限らなくとも、
その瞬間から疑いの目で見られ、コミュニティから疎外され、
どんどん状況が厳しくなっていったのであろうと。


ここでビール醸造の歴史についてちょっと触れますと、

歴史的に、醸造は家庭領域に属し、女性の仕事と見做されており、
中世の間、居酒屋や宿屋は女性の存在が最も大きな活動の場であり、
飲み物の製造も、非常に頻繁にその建物、場所の管理も含め、
全ての世話をしていたのですね。

その幾つかはとりわけ有能で、高品質のビールを生産し、
市場でも販売しました。

こうして幾らかの余分なお金を稼ぐことが出来、未亡人の場合は
家族の幸福をあがなう事も出来ました。


というこの辺りの説明で、実際に醸造者としての女性、魔女に関係する
全ての特徴が一致し、

つまり暗い色の服は、緊縮が説教されたプロテスタントのコミュニティで
一般的な女性の衣服で、

こちらはアーミッシュの女性

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肖像画に残る、高貴な方も含まれるフランドル地方の女性達

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で、先の尖った帽子はもっと実際的な理由で、つまり市場の喧騒の中で、
潜在的顧客によって簡単に識別できるわけで、

大鍋、はビール瓶の無い時代の容器ですし、


箒は、家の前の穴から箒を突き出し、または箒を家の前に吊るし、
ビールが出来た事を示す方法だったと。 1300年頃。

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こうしてビール醸造は、近世に至るまで主として主に女性の活動で
あり続けたのですが、


16世紀初め、プロテスタントによる宗教改革が行われ、
「まともな、正しい」女性にふさわしい活動について、伝統的なカトリック、
キリスト教よりもはるかに厳しい考えが広まり、

とりわけ、改革によると、女性の大部分はアルコールから離れなければ
ならなかったのですね。

こうしてビール生産をする女性は、何よりも疑いの目で見られ、
というのも、この活動に伴う経済的自立の為、彼女たちの多くは
未婚、または未亡人であり、

つまり男性の支配から解放されていた、からなのですね。


当時醸造業界は活況を呈しており、競争は厳しく、
一部の生産者は、女性生産者が魔法を実践し、水薬を準備、
男性の生産者に頼る顧客を失うようにした、と非難し、

女性生産者の周囲で発生した噂は、非常に迷信的なコミュニティで
山火事の様に広まり、

こうして我々が今日持っている魔女のイメージは、プロテスタントの
世界で形になり始め、

当時の印刷物の上で、魔女を主人公とする物語が即人気を博し、
暗い色の服を着て尖がり帽子、猫、箒を持った女性の肖像が描かれ、
つまり、かっての女性醸造業者の古典的な姿が、魔女の特徴と
なったのでした。


ではなぜ猫が? ビールや魔術とどのような関係が? とお尋ねに?
これのお答えには何世紀も遡りますが、

ビールは何千年もの間、人気のある飲み物で!
メソポタミアの最初の都市文明で、既に工場規模で生産されており、

シュメール人にはビールの女神ニンカシ・Ninkasiがおり、
「口を満たし、心を潤す彼女」と。

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古代エジプトでもビールの女神テネネット・Tennetがおり、
不可欠な飲み物であり、宗教的価値も持っていたと。

こちらは女神テネネットの管理の元、働く女性醸造業者。
当時パンとビールを準備するのは、女性の自家醸造者の責任だったと。

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人口の殆どが食べて生き残るのに苦労していた歴史的時代に、
ビールは重要なカロリー源であり、しばしばハーブと混ぜ、薬として使用も。

そうそう、当時はまだビールにホップは使われておらず、ハーブの様々を
利用していたのだそうで。

そして中世の修道院でも作られたビールの、ハーブ・ミックスの
レシピは厳重に秘匿されていたそうで!

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が、ビール製造に携わる人々の宿敵は、ネズミとげっ歯類!
貯蔵された穀物を食べるだけでなく、病気の媒介者でもあり、

このために通常、各醸造所には一匹以上の猫がおり、鼠たちを
遠ざけていたのですね。

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確かにビールの生産と普及に最も貢献した古代エジプトでは、
これらの猫は神聖な動物とされていたのは、皆さんも良くご存じと。

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そして何世紀も経た中世の醸造所でも鼠との長く厳しい戦いを続け、
穀物の安全の為にやはり猫の援けを求めていて、

その為に「猫」は、醸造所の主人と同じ汚名を着せられ、
実際に猫たちは悪霊、または変身した魔女であると信じられており、

黒い毛の猫が通常、魔女に関連する猫であると考えられるのは、
多分この毛色が飼い猫の中で最も一般的であったという事実に由来
していたのだろうと。


という様な事で、魔女伝説と、中世の女性醸造業者との繋がり、の
由来がお分かりいただけたかと。


私めも最初、かっての女性醸造業者の存在を考えた事もなく、
知らずで、それと魔女伝説がまるで繋がらなかったのですが、
読んで見ると、成程という感じで、

つまりは、男性側の本気の醸造業界から、家内工業的発生の
女性醸造業者の締め出しが、魔女狩りに結び付いたのですね。


読みながら、また情報集め、サイト記事集めであれこれ読んだ中で
興味深かったのは、こちら、

エール・ワイフ、魔女、それとも醸造家?
Le Alewife, streghe o birraie?

魔女とビール:歴史が伝説を超える時
Streghe e birra: quando la storia supera la leggenda

どちらも記事上で右クリックし、日本語訳でお読み頂けます。

こうして読んでいると、やはり引っ掛かりが出てくる「魔女裁判」ですが、
今回は敢えて単純に述べるだけにしました、ご了承を。 


そしてなんとなしにビールに欠かせないとよく聞く「ホップ」を
思いつつあれこれ見ていて引っかかったのが、

ロンバルディーア州の北のヴァルテッリーナ・Valtellinaで自家製ビール
製造を夢み、ホップの製造から始め、何年もかけて遂に醸造所に頼み
自家製ビールを作った、という記事を見つけました。

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スティリア ー 現代の”魔女”のお話
Strìa – La storia di una “strega” moderna

魔女ならぬ男性、パオロ氏の何年もかけた情熱物語で、
ホップも1年毎に徐々に栽培を増やし、やはり土地で栽培された
古代のライ麦と大麦、というオーガニック・ビールの生産で、

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小規模の醸造所なので、過剰生産無し、レシピも共同研究し、
この記事では、テスト試飲会も済ませ、翌年2015年10月に
生産され、メンバーから好評を受けたというビール。

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きっとこの後、毎年自家栽培ビールが生産されている事でしょうが、


最後に、
イタリアの法律では、1996 年以降、製造されたビールが販売されず、
家庭内で個人消費や来客用にのみ使用される場合に限り、
消費税を支払うことなく自家製ビールの製造が許可されています。

とあり、ははは、と愉快になったのでした。


今年が良い年になります様に、カンパ~イ!!

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