・ フィレンツェ ピッティ宮  メディチ家夏の住い、内部装飾画の凄さ

フィレンツェはピッティ宮で開催中の「エレオノーラ・ディ・トレド展
の後半を、という所なのですが、

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実は会場に充てられていたメディチ家の夏の住居部、というのか、
以前は、今も?の、銀器博物館部分の壁画に魅せられ、
あれこれ撮りましたので、どうぞご覧下さいね。


「エレオノーラ展」会場は、

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右下の緑部分で開催、全部は使っておらずだったと、

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赤の部分は、ラファエッロのファンの方々ご高覧ご愛用の、
ガッレリーア・ピッティ部。

この地図で見ると、赤と緑部が隣り合っておりますが、
緑部は一階入り口を入って内庭の右隅から入り、
ガッレリーア・ピッティには内庭に添っての奥の階段から上がります。



で、エレオノーラ展は、先回見て頂いた入り口部の小さな部屋での
彼女の父君の肖像画、ティツィアーノ作、
そしてコジモ1世の大変穏やかな顔の大理石像を見て、


隣の広い部屋に。 こちらが入り口部からの眺めで、わぉ!

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で、この部屋が第1展示室で、サイトの写真を拝借すると、
こんな風に展示されていたのですね。

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私めは今回ソニーのコンパクト・カメラのみで出かけたのでしたが、
なんと言うか、実際にしっかり撮りたかった絵の細部などは腕の未熟!で。

でも実際に本当に暗めだった部屋内部とか、部屋内の遠景は
良く写っているでしょう?!

実際にはこんなに壁装飾画の色などは見えなかったのですね、へへ。

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で、こちらがこの部屋の展示が無い時の写真で。

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つまり、先回単純に「だまし絵」とご説明に書いたのでしたが、
それ以上の、未だ見た事のない、か、見ていてもピンと来なかったか、の
迫力ある広がり、的確な建築物描写の凄腕、に驚き、

誰が、いつ描いたかのかを探しまわり、探し回り、見つけましたので!!


まず最初の部屋の天井を。 この天井画の中心をちゃんと撮っておらず、
ピッティ宮のサイトの説明にも載っておらずですが、

どうやら「アレッサンドロ大王の生涯と凱旋」を描いている様で。

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展示物が無く、見えやすかった細部をちょっぴり。

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で、今回ご案内の大広間、見たのは確か3部屋ですが、の装飾は
誰が発注したか、といいますと、


このお2人コジモ3世と、この方は第5代のトスカーナ大公で、
ヴィットリア・デッラ・ローヴェレ、との結婚祝いで、1635年に。

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取り分けヴィットリア・デッラ・ローヴェレは、メディチ家最後の
アンナ・マリーア・ルイーザ・デ・メディチの祖母として、

彼女自身もローヴェレ家本家の最後であり、両家の資産を
残し、幼い彼女を教育した人物だった様。

残念ながら2人の結婚は余り幸せではなかったようですが。


アンナ・マリーア・ルイーザ・デ・メディチ公妃が、フィレンツェに残したもの
https://www.italiashiho.site/article/498213935.html


で画家は、アゴスティーノ・ミテッリ・Agostino Mitelli(1609-1660)と

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アンジェロ・ミケーレ・コロンナ・Angelo Michele Colonna(1604-1687)

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の2人で、2人は1632年頃から組んで仕事をしており、ミテッリと共に
スペインでの仕事もで、1660年にミテッリがマドリッドで亡くなるまで
一緒の、良き同僚であった様子。



いわゆる「トランプルイユ・騙し絵」とか、「下から上を眺める」式の
天井画は15世紀後半に発展したもので、

マンテーニャ(1431-1505)の描いた、マントヴァ・ドゥカーレ宮の
天井の丸窓を模したもの、とか、

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ヴェロネーゼ・Veronese (1528 –1588)の描いた、ヴェネト州
マゼールのヴィッラの騙し絵などなどが有名ですが、

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ヴィッラ・バールバロ・ディ・マゼール
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/463456543.html

n.1 マントヴァ・Mantovaと、サン・ベネデット・ポー・San Benedetto Po
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/464089512.html

n.2 マントヴァ・Mantovaと、サン・ベネデット・ポー・San Benedetto Po
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/464090033.html

はい、このフィレンツェのピッティ宮に描いた人物の取り込み法などは、
きっとこのヴェロネーゼのマゼールの壁画からヒントを得たのだろうとも
読みました。


そしてこの17世紀となると、バロック期の画家たちが用いた伊語では
クワドラトゥーラ・Quadratura」と呼ばれる、

遠近法と建築空間表現の理論と結びついた技法を使い、
こういう言葉では実際には分かりにくいですが、shinkaiには、へへ、

遠近法を使い、平天井に、実際の建築から続いているように見せる
建築を一点透視図法、で描いたのだそうで、

人物の短縮法、彩色された壁や柱の深い窪み、青空の錯覚を生んだ、と。


確かに、shinkaiめが今まで見た騙し絵よりも、ずっと奥行きが深く、
広い空間を感じさせるダイナミックなもので、驚き、魅せられたのですね。

このピッティ宮のここの壁画が、フィレンツェでは確かこの種の
最初の壁画だったと。


どの順だったのか、少々怪しく申し訳ないのですが、へへ、

この部屋をどうぞ。 多分「個人的な聴聞室、夏のアッパルタメント」と。
この高さ、下にチラッと見えるドアの鴨居の高さの上から広がる
この高さと、重なる部屋の奥行!!

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こんな、眺める貴婦人が居り、実はshinkaiは見逃しましたが、
この婦人の左奥に、使用人らしき男性がおり、

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その下の階では黒人の使用人が、豪華なカーテンを開いており、

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右の端では花鉢の花で遊ぶ少年も。 ピン甘ご容赦。

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そして天井中心の丸窓の青空迄の、この遠近と、天井建築の描き方!

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下に見える部分が、実際の部屋の高さなのですね、この凄さ!!



そしてこちらが確か2つ目の部屋だったと思う、
「公開聴聞室、または 円柱の広間」と呼ばれる部屋。

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この円柱の並びが醸し出す高さ、そして空間! 物凄く高いなぁ、
15m位あるかなぁ、とちょうど居られた管理の人と感心したのですが、はは、

実際は部屋の高さは、上の1枚目の一番下の階、迄だったのでしょうねぇ!


そして、単眼鏡で眺める少年。

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説明に、当時のガリレオ・ガリレイはメディチ家のお抱えというか、
幾らか俸給が出ていた様子なのが、

ちょうど「地球は丸い」説を唱え、棄教した、というのがあり、
知らなかったので、そうだったのか、と。



実は一番初めに、この素晴らしい大理石テーブルを眺めて撮り、

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そしてふっと前を見上げると、この年配のシニョーレがおり、ははは、

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これを見つけて以来、あちこちを探す楽しみが出来たのと、

この目前の壁のフレスコ画の描き方の、如何にもさらっと描きつつ
ぴちっと明暗を決め、人物の肌、衣装の肌合い、物質感の凄さも
改めて眺めたのでした。

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だってフレスコ画というのは、本当に一発勝負式なので、
明暗の色調合だけでも大変だろうと思い、

きっと工房にはたくさんの弟子、小僧を抱え、それ専門の
教育も施しながら、一方で各注文主の希望を聞きつつ、ね。


描いた壁の装飾にも、金線、金塗りで豪華さを際立たせ、

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いやはや、恐れ入りましたぁ!の凄腕の画家作品で、
天井の高さに足場を組み、フレスコ画で、その上に広い空間を作る、
というのは、どれ程の下準備をするのだろう、と!!

サイトによると、フレスコ画で、テンペラ技法の使用も、とあり、
一日に描ける量を考えると、はぁ~と、見る方は溜息を。



そしてもう一つの部屋の天井画を。

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この2人物像は、どこで見つけたのか記憶になく・・。

ですが、ちゃんと彼らの周辺、背後にも空間が広がるのに、はぁ・・。

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そして、サイトで見つけた、shinkai見落としの2少年像を。

オウムと遊ぶ少年と、

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サルと遊ぶ子。

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次回にフィレンツェに、ピッティ宮にお出かけの時は、是非こちらにも
お出かけの上、探し物の楽しさもどうぞ!



先回の「エレオノーラ展」ご案内では、彼女自身の肌着などをご覧
頂きましたが、
今回は、どうやら同時代の他の貴婦人の衣類の再製と思われるのを。

赤い裾引きの、かなり豪華な金糸テープが付いた豪華なもの。

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そして、同じ布の部屋履きかな、の付いた、黄の縞織衣装。

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ですが、いつも映画でスタイル満点の女優さんが着ているのを見過ぎ、
はぁ、こんな実物が余りカッコ良いとは思えず、申し訳なく。



最後は、フレスコ天井の凄い部屋を過ぎ、裏側の様々な
宝物の間を通り抜け、はぁ、興味がなく、済みませんです、


突き当りの最後の部屋の天井で、こちらは多分もっと後年の物、
ロココ期なのかな、でしょうが、

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窓の前の造りがこんな風に、つまり部屋の中に泉があり、
窓辺に行く、この段の優しさというか、ロマンチックというか・・!

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という事で、最初の部屋を再度覗いて、お終いに。

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ブックショップも覗いた後、内庭の奥から入り口側を。

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外に出て、建物端の柵越しに見える、洞窟・グロッタをちらっと見、

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ピッティ宮前から見えた、ドゥオーモのクーポラ頂上を。

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長いお付き合い、有難うございましたぁ!

お楽しみ頂けましたように!!


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