・ 男達(中世の画家たち)と、金髪女性

今回は、「アート・ジャーナル・Il giornaledellarte」という
サイトの中の「中世の小さな物語」項目内に見つけた、


ああ、そうか、という興味深い納得もあり、皆さんにも。

マリリン・モンローも、バービー人形もブルネットで生まれましたが、
ブロンドとして成功を収めました。 と始まり、

1-Marilyn_Monroe,_Photoplay_1953_GF.jpg


中世の図像では、おそらく茶色の髪だった多くの女性聖人に
同様の運命を与えました、と。

つまり中世の画家たちは、幾人かの殉教した女聖人たちを
金髪に描き、後世の崇拝者たちの信仰心を高めた、と。


ははぁ、成程ね、と思ったのは、shinkaiめも大きな驚きの経験が
ありまして、

トスカーナはアンギアーリ・Anghiari の博物館で、聖母マリア像・
かなり有名な彫刻家作でしたが、間違えてはいけないので省略し、
その木製像、上半身像が金髪だったのですね。

大体マリア像に限らず、聖女性像はベールをかぶっていますよね、
それが無かったか、肩に落ちていたか、金髪そのものが見え、
あの薄暗い博物館内で、かなり強烈な印象を受けたのでした。

で、今回これを読み、やはり金髪というのは目立ち、人目を引き、
男性達のみでなく、その美しさに誰もが目が奪われるのだ、と。

となると、それを描く男性画家たちは、自身の憧れも勿論、
依頼者、教会であろうとも! の共感を得、画家としても評判を
高める為にも、

それはもう、金髪に出来るなら金髪に描くよね?!と。

という事で、明らかに金髪の美しさが描かれている女聖人の例を


プラート・Prato、フィレンツェの北に位置する町の市美術館、
ジョヴァンニ・ダ・ミラーノ・Giovanni de Milanoの祭壇画の
カテリーナ・ダレッサンドリア・Caterina d’Alessandria(287-305)


こちらは殉教のシーンで、長く解けた金髪を首の片方に流し、
処刑人に首を差し出す、というエレガントな彼女の姿を。

2-IMG20230315112620618_1000_GF.jpg



全体はこの様な大きな祭壇画で、1355年、上中央に聖母子像
が描かれ、その下段中央に受胎告知、両脇に従う聖人達の
殉死場面、最下段は、キリストの生涯を。

3-Giovanni_da_milano,_Polyptych_with_Madonna_and_Saints,_prato_GF.jpg


上段一番左に唯一見える女聖人が、アレッサンドリアのカテリーナ
左手を車輪の上に置いていますが、

これは彼女のアイテムで、上の処刑場面にも車輪が見え、
手足を車輪に結び付け転がす、という拷問を命じられたものの、
車輪はひとりでに壊れ、斬首刑にされたというもの。


上の全身像に見える上半身はこの様で、金髪が美しく。

4-giovanni_da_milano_GF.jpg


この図は、「プラートの祭壇画・ジョヴァンニ・ダ・ミラーノ」
という本の出版案内で、

この抄訳を読み、ジョヴァンニ・ダ・ミラーノが僧侶であった事、
当時一流の画家として認められていた事、
この祭壇画は当時のプラートの巡礼者、貧者、病人の救済所で
あった病院建物の拡張時に注文されたもので、

彼にとっても、生涯で重要な仕事となり、病院の支払い記載
にはないものの、何年後かに、病院内の目録に記載ありとの事で、
やれやれ、良かった!



こちらはカルロ・クリヴェッリ・Carlo Crivelli描く、少し時代が下がり、
1430-1440、やはり金髪のアレッサンドリアのカテリーナ。

5-ICCD2987846_4HL0149a_GF.jpg



伝説上の人物で、実在したかは非常に疑わしい、と言われるものの、
大変な信仰者を集めたと言われる、

アンティオキア・シリアに近いトルコ最南部の、聖マルゲリータ
Margaritaも、1540年代には金髪となり、

6-IMG20230315112832322_1000_GF.jpg


ピエモンテ州のヴィッラフランカのサンタ・マリーア・ディ・ミッシオネ・
Santa Maria di Missione a villafrancaにある、

画家はデュサイモ・Duxaymoと呼ばれるイタリアの画家アイモーネ・
ドゥーチェ(記録があるのは1417-1444)が描いたもので、
彼は国際ゴシック画家として活躍した様子。


神聖な処女の殉教者のみならず、聖母は頻繁に金髪で描かれ、

はぁ、上記したshinkaiが見たものも嘘ではなく、はは、

いくつかの「黒い聖母」さえも、12世紀にはオロパ・Oropaの
聖域の黒い聖母も金髪に!

7-Oropa_20_07_2015_05_GF.jpg

少し驚きですが、顔の回りのカーヴした金色の流れが金髪で、
その上からヴェールを被り王冠で、子のキリストも金髪に!


「黒い聖母」像は、スペインのピレネー山中に点在するとか、
私めもフリウリのカステル・モンテの山上の教会にあるという
絵葉書を見たり、

カステルモンテ ・ スロヴェニアとの国境に近い、信仰の村
https://italiashinkaishi.seesaa.net/article/462968910.html

このヴェネトの山沿いの教会のマリア様のお顔が少し黒い、
というのも見た記憶があり、
古い信仰の残る教会には、今も居られる様で。


付属の驚きは、オロパの聖域、という場所ですが、
トリノから北に90km程の山中で、車で1時間半ほどの位置。

で、こちらが正面広場で、奥の中庭に面して古い教会があり、

8-Santuario_di_Oropa-prima_Piazza2_GF.jpg

その奥祭壇に「黒い聖母子」で、現在もたくさんの信者達が
集まる様子が、一目瞭然!



さてフィレンツェのウッフィツィ美術館にも、世界に有名な金髪の
聖母がおられますが、

シモーネ・マルティーニの「受胎告知」1333年 聖マリアですね。

9-IMG20230315112918439_1000_GF.jpg

今回読んで、初めて、そう言えば金髪だっけ、と気が付いた程で・・!


全体はこんな様子で、両脇に聖人がおられ、中央左に受胎を
告げる天使ガブリエレと、受ける恥じらいのマリア像。

全体すべてが金色輝く中で、

10-simone-martini-annunciazione_GF.jpg



天使ガブリエレも金髪。

11--simone-martini-annunciazione-part.1_GF.jpg



彼の衣装は、白金色に金の押し模様という、

12-450_b_GF.jpg

これでもか、という程の技巧の幅を見せるシモーネ・マルティーニ
ですが、下品さは欠片もなく、見るこちらをも天国に誘い、
これはまさに極地にある絵画なんだなぁ、と納得を。



最後はマグダラのマリア・Maria Maddalenaの金髪を。

彼女の髪は、改心しキリストに従うようになった後も、しばしば
目立つ金髪に描かれ、

こちらはマサッチョ・Masaccioによる1426年の、磔刑図での
マグダラのマリーア。

15-masaccio-crocifissione-1426_GF.jpg

14-IMG20230315113013264_1000_GF.jpg



そして12年後1438年のフラ・アンジェリコによる彼女。 
貞節な女風に描かれていますが、やはり金髪ぅ!

13-maddalena-1438scheda_GF.jpg



そしてルーカ・シニョレッリ描く、1504年のマリア・マッダレーナ。
金髪どころか、如何にも豊満な肉体を感じさせますねぇ。

17-signorelli-maria-maddalena-1651054939_GF.jpg


ご存じの様に北ヨーロッパでは当たり前に金髪なのでしょうが、
イタリアでは殆どが茶~黒の髪ですから、

ローマ生まれのグレゴリウス1世教皇(540-604)は、
若い金髪の奴隷が売りに出されているのを見て驚き、

「全ての住民が金の髪で輝いている」ブルターニュから来たと
説明され納得したとの事ですが、


やはりイタリア女性も、勿論男性も金髪に(青い目にも)
憧れるようですし、

傍から見ても、やはり騎士物語には、現代のロマンス映画にも
金髪、が似合う気がします。

おまけに「もっとも純粋な金でさえ見栄えが悪くなるほどの、
光沢のある金髪」という言い回しがある様で!

詩人が謳った女性は自然に金髪で、ペトラルカのラウラも、

チーノ・ダ・ピストイア、知りまへん、の最愛の人も、
その三つ編みは、辺り一面を黄金色に、と!


長い時代、多くのブルネットの女性が、様々に金髪になる方法を試し、

ヴェネツィアでは、キャップを切りとった帽子の広いつばに長い髪を
広げ、顔の白さを保護しつつ、太陽に晒し金髪にしたり、
たくさんの染料も試されたらしい過去の世紀ですがぁぁ、

まぁ、今では簡単なヘアーダイがありますからね、

そんなこんなで、

ブルネット、黒髪におさらば、しょうと決めた全ての人に、
幸あれかし!!


*****

当ブログご訪問、有難うございます!
見たよ! の応援クリックも宜しくお願い致しま~す!


    にほんブログ村  


     s2019誕生日 - Copia_01.JPG    


*****
  
色鉛筆+水彩画ブログには、
ピエンツァ 黄昏 描き始めと、 見える塔の正体は?!
をアップしています。 ご訪問よろしくどうぞ!


*****
   
記録庫ブログは、お陰様で無事引っ越しを終えています
 
今後ともの皆様のご訪問を、お待ち致しておりま~す!

*****

コメントの書き込みについてのお願い。

ブログの記事下に、「コメントを書く」が出ていない時は、
上か右の、記事タイトルをクリックして頂けると
記事の一番下に「コメントを書く」が出ますので、よろしくお願いいたします。
非公開コメントをご希望の場合は、非公開で、と書いて頂くと、  
コメント承認制ですので、保留にし、お返事だけ公開しますので、
それもご了承下さいませ。

この記事へのコメント